KIOTOPARISの日記

Wineと日本酒、その他楽しいこと

海外からワインを持ち込む? (2)

どんなワインを買ったらいいの?

  1. 2012年からフランスには5回ほどワイン旅行をしました。ワイン購入の予算は1回の旅行で20万円くらいに抑えていますが、どんなワインを買って持ち帰るかというのは大事なポイントですよね。
  2. 最近は日本のネットでのワイン販売も盛んで、かなりいいお値段で出ていることがあります。中にはフランスの大手スーパーで買うより安い場合があります。日本のワインの流通も大きく変わってきたことが伺えます。

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それでも現地では興味あるワインがたくさんありますね。

私が購入のポイントは次の通りです。

  1. 日本での販売価格に対し半額程度になっているもの(日本のネット販売価格より高い価格で設定されたワインがフランスでも多くあります。日本の価格は是非チェックしておきましょう)
  2. 上の写真のシャトー・タルボ2015は日本でのネット価格を調べると1万円くらいの価格設定が多いですが、中にはなんと、税込み6,200円で売られているのがありました。上記の写真では1本€52.95でした。1ユーロを135円で計算すると、€52.95 x 135円 + 150円(税金)= 7,300円程度になります。6,200円はこれより安いですね!こういうことが最近多いのです!このような場合は購入の対象にはしません。
  3. 日本ではまずお目にかかれないレアワイン。例えばシャンパーニュ地方のstill wineであるコトー・シャンプノワCoteau-Champenoisは、日本ではかなり入手困難です(そしてお値段も日本では1本が1万円以上になります)。もともとは生産量が550ヘクトリットル程度なので、少ないのですね。パリのスーパーでも見つかりません。しかし、ランスReimsではワイン専門店のニコラNicolasとか、大聖堂の近くのワインショップとかで売られていました(こちらが二コラより安かった)。お値段も20ユーロ台で非常にお買い得でした。また、JuraのChâteau-Chalonなども日本では入手困難で、価格も1万円は超えますね。
  4. さらに言えば、フランスのワインガイドブックLe Guide Hachette des Vinsで赤ハートがついているようなお値打ちワインは地方も含めあちこち探しましたが、見つけられませんでした。このようなワインに出会えたら、即購入ですよ!! 
  5. 現地の大手スーパーや二コラのようなワイン専門店で€30も出せばかなりのレベルのワインが買えます。€10程度でも日本では3,000円くらいで売られているのも多くあります。パリ駐在の頃、割と裕福な人たちが暮らす16区の地元スーパーでどんなワインが金曜日に売れるのかを調べたことがあります。一番の売れ筋価格は€10前後でした。ワインにうるさいパリジャンでも€10のワインなら普段飲みレベルではOKなのでしょうね。
  6. シャンパンは微妙です。私がネットで買っている価格の方が、現地のスーパーのお値段より安いのです。ただ、フランスでは日本で売られていないRM(Récoltant-Manipulant=自家葡萄栽培の製造販売で大抵は小規模生産者)のシャンパンは数多あるので、珍しいものを買ってくるのも楽しいですね。大手シャンパンメーカーは小規模生産のRMのシャンパンは競争相手としてみていないそうです。理由はNVでも安定した品質を維持するのが難しく、いい時と悪い時の品質の差がかなりあるとか。大手は品質維持にノウハウや経営資源もも十分あるとのこと。ということは、RMであれば、いい年の葡萄を使ったMillésiméのシャンパンを狙うのもいいかもしれませんね。大手のMillésiméと比べて比較的お値段もお手頃ですので。また、シャンパンボトルは重いので、これだけが難点です。むしろ、マグナム(2本分)とかジュロボアムJéroboam(4本分)などの方がワイン会などでは存在感抜群だし、楽しめますね(保存・熟成からみると、瓶内の空気分量が相対的に少ない大型ボトルが長持ちするといわれています)。
  7. 留意点は、買えるワインは大抵vintageが若いことです。上記写真のタルボも2015年ですね。「ワインは飲んだ時が飲み頃」という話がありますが、それでも、やはりいいワインは寝かしておきたいですよね。2018年に購入であれば、売られているのは2015年や2016年物です。ボルドーブルゴーニュ、シャブリ等の上物なら、10年は寝かしたいですよね。10年経つと2025年、2026年。ここまで待てるかな?

 

どこでワインを買ったらいいの?

  1. 空港の免税店は最悪ですね。別に免税店の営業妨害をしているわけではないのですが、日本のワイン専門店の価格よりも高いくらいです。ここでワインを買っている方は「免税店だから安い」という神話・誤解のど真ん中で生きているのでしょうね。ただ日本ではなく、他のアジアの国で自国のワイン関税が高く、ワインがそもそも高いところの方からみると、免税店はまだ割安感はあります。ヨーロッパの空港で良心的なワインの価格設定をしていたのはドイツ(例:フランクフルト)やベルギー(ブリュッセル)など少数の国の免税店でした。今はどうでしょうか。
  2. ワイナリー訪問時にそこのワインショップで買うこともいいですね。レアワインに出会えます。私はワイナリーに行ったときは少なくても1本は買うことにしています。しかし最近は見学だけして写真をバチバチ撮って、何も買わない人が多いとか。まあ、これは価値観の問題ですね。ボーヌ郊外にある有名な某ワイナリーに見学に行って、ショップで€70のCorton Grand Cruを買ったら、2人の見学料を半額にしてくれました(€20分無料となり、結構嬉しかった!)。事前にワインの価格は調べていきましたが、ここのワインショップでは日本で売られているより3割から5割安で、中にはレアもんもありました。
  3. ワイン専門店のNicholas二コラはフランス国内外にあり、地元のスーパーよりお値段は少し高いものの面白いワインが手に入ります。お店の方は流石にワインの専門知識をお持ちです。3本入り木箱は簡単に手に入ると思います。
  4. 手軽でお勧めは地元(大手)スーパーのワイン売り場。ワインは高いものでも€100くらいまでですが、種類は多く、全般的には価格も安めです。

 

パリではM1メトロの終点のLa DefenseにあるオーシャンAuchanという大型スーパーでよくワインを買っています

(正直、ここはあまり知られたくないという気持ちは少しありますが、ワイン好きの皆様にとって、「いいワインをできるだけ安く買いたい」というのは共通の願いと考えますので、お知らせしますね。)

 

下記の写真はAuchanの地下のワイン売り場です。陳列棚がいくつもあり、かなり大きいです。高価なワインは一番上の写真にあるTalbotのようにボトル上部に盗難防止のキャップがついていて、レジで外してもらいます。たくさん買うと外してもらうのに時間がかかり、後ろの列の人たちの視線を感じますが、ワインの為、我慢、我慢です。(フランス人はこの辺はとてもオトナで、罵声を浴びせかけられることはありません)「これ全部ひとりで飲むのか?」と聞かれたことはありますが。

高級シャンパン等はカギがかかった棚に陳列されています。

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  1. このスーパーで免税対応できないかどうか2回試しましたが(初回は受付で日本のパスポートを提示したのに「Chinois」と記載され(OMG!)、訂正を要求しても無視され、こりゃダメだと思いました。それで2回目をトライした訳です...)、2回目にきっちり説明を受けると、ここでは食品やワインはやはり免税不可なのだそうです。それでも、「まあ、安いし、免税でなくてもいいや」、という感じになりました。
  2. このスーパーでは全国的に年に2回(4月のイースター後と9月末)にワインフェアー (Foire aux Vins) があり、大量のワインが展示され、ワインも通常価格より更に安くなります。ムートンやラフィットのような高級ワインも出ます。6本入りカートン(紙箱 or 木箱)で買うのも簡単です。この時は最高にお勧め!このためだけに航空運賃を払って日本から買い付けに行ってもいいくらい(と思っています)。開催時期は毎年少しずつ違います。AuchanのHP(仏語です)で時期やワイン価格を確認できます。そしてこのワインフェアーの時は、不思議なことに、ブルゴーニュの上物の高価な白から先に売り切れになるのです。やはりお好きな方は多いのでしょうね。
  3. ワインフェアーの時は大きな特設ワイン売り場が1階入り口のすぐ近くにできます。通常のワイン売り場は地下1階で、入り口から真っすぐ歩いて生鮮食料品売り場のところにあるエスカレーターで降りた目の前です。かなり大きい売り場です(上の写真)。この地下1階にもレジがあります。
  4. 沢山ワインを買う予定なら、空のスーツケースを持参するのが持ち運びに便利です。スーパーに入る前に警備員がプラスチックのストラップでスーツケースのカギを固定します(必須)。レジで支払いを済ませた後、ストラップを切ってもらうのですが、なかなか警備員が来てくれないことがあるので、ご自分でハサミを持参されたらいいですね(レジを出ればストラップは自分で切っても構いません)。ワインはフロアーでスーツケースに詰め替えることになります(ジロジロ見られてチョット恥ずかしいけど、ワインの為だ、気にしない、気にしない)。
  5. そして買い物カゴは大きなワゴンになっているものを使うのがいいですね。入口の右側奥に置いてありますが、ワゴンを取り外すには1ユーロコインを差し込む必要があります。ワゴンを元の場所に戻し鎖をつけると、差し込んでいた1ユーロコインが戻る仕組みになっています。
  6. AuchanがあるLa Defenseはエスカレーターが完備しており、始発の地下鉄M1のLa Defense駅まで楽に行けます。しかし、パリの地下鉄は古いので、エスカレーターやエレベーターがない駅が多いですから、階段の上り下りは結構大変ですよ。エスカレーターも時々ガクン・ガクンとなるので、後ろに倒れないようにベルトをつかみましょう(倒れそうになった経験から)。
  7. (春のフェアーの後ですが)今年の5月・6月にこのAuchanに行ったときは、①ボルドーワインがかなり高くなっていました(昨今流行っているボルドーワイナリーの設備更新に伴う投資の回収と、中国人が特に赤ワインを沢山買ってくれるからとの日本の某有名ソムリエの話)、②ブルゴーニュのグラン・クリュが少なくなっていました(ほぼゼロ)、③シャブリのグラン・クリュなし(こんなの初めてですが、専門家に聞くと、シャブリはもともと輸出比率が高く、国外に出ているのでは、とのことでした。)、④アルザスのグラン・クリュもほぼ払底、と大きく品ぞろえも変わっていました。半面、ブルゴーニュのボーヌではワインショップが街のあちこちにできて高級ブルゴーニュを売っていました。ワインの流通もドンドン変わってきているのでしょうね。
  8. ワインの真実」(原題le Goût et le Pouvoir)という本で筆者のジョナサン・ノシターが「(オーシャンが)ワインのことをちゃんと知っている店員を雇わないのは、明らかに計算された戦略である」(211ページ)と批判しています。しかし、少なくとも私がLa DefenseのAuchanのワイン売り場で会った店員はワインをとてもよく知っていましたし、更に英語でのコミュニケーションもできました。ワイン売り場で特にワインの説明を受けなくても好きなワインを安く買うわけだから、私は全く構いません。出版された2014年頃の話かもしれませんが、私はこの批判は当たらないと思っています(「オーシャン擁護派」で~す!)。
  9. パリの他の中小スーパーではかなりワインの値段が上がっています。日本でネットで買うのと変わらないか、むしろ高いことがあるので、価格をよく見て買いましょう。高くても(観光客に)売れるから強気なのでしょうね。最初からスーパーのワインは安いと思うのは要注意です。
  10. 地方に行けば、希少ワインが今でもとてもリーズナブルに売られているので、お勧め。フランスに行くのであれば、是非、地方にも行ってみましょう!! (「フランス国鉄 SNCF 楽しもう!」をご参照ください。)

 (長くなりましたが、ここまでお付き合いいただきまして、ありがとうございました! 現地でいいワインを見つけてください!)