J.S.A. SAKE DIPLOMA 二次試験対策(1)
J.S.A. SAKE DIPLOMA 二次試験対策(1)
1. 2017年のテイスティング銘柄
日本ソムリエ協会(J.S.A.)から第二次試験後に発表された2017年のテイスティング品種と正解です。
推定製品名(赤字)もご参考に入れています。これは情報交換サイト(https://mevius.5ch.net/test/read.cgi/sake/1506061470/)からの情報ですが、真偽の確認はできません。
(私はあまり詳しくはないのですが、最初のお酒は確かに価格が税込3,240円の「米のささやき大吟醸」にとても近い味でした。)
J.S.A.は決してテイスティングの商品名は発表しません。あくまで不確かな情報としてご参考になさって下さい。
テイスティング・グラス
SAKE DIPLOMA二次試験の日本酒・焼酎のテイスティングはワインの場合と同様に、国際標準化機構(I.S.O.)No.3591により定められたテイスティンググラスを使います。普段、唎猪口でテイスティングをしている方はこのグラスで外観・香り・味わいをとることに慣れておくことも必要ですね。
このグラスは安いところでは1客600円程度で入手できます。焼酎のテイスティングもこのタイプのグラスです。
2017年テイスティング銘柄
番号 |
(推定商品名) |
J.S.A.が正解とした特定名称酒/焼酎 |
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① |
米ささやき大吟醸酒 |
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② |
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③ |
〆張ヅル 純米吟醸酒 |
純米吟醸酒 五百万石 |
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④ |
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⑤ |
- |
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⑥ |
- |
(1~4の赤字記載の銘柄は推定、5~6はJ.S.A.発表内容)
2. 2018年のテイスティング銘柄
番号 |
J.S.A.が正解とした特定名称酒/焼酎 |
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① |
純米酒・美山錦 |
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② |
純米酒・五百万石 |
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③ |
吟醸酒・五百万石 |
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④ |
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⑤ |
芋しょうちゅう |
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下記にテイスティングの模範解答が載っています。
https://www.sommelier.jp/enubj7ewv3/2018pa_sa.pdf
3. J.S.A.の模範解答から伺える合格レベル
ご覧の通り、大吟醸酒は吟醸酒であっても正解になっています。同様に純米酒は特別純米酒も正解、純米吟醸は純米酒、純米吟醸酒、純米大吟醸、特別純米酒も正解となっています。
すなわち、吟醸酒なら醸造アルコールを含むかどうか(吟醸酒 vs. 純米吟醸酒)の違い、吟醸酒と純米酒の違いが分かるかというのがポイントになります。
更に下記をテイスティング品種で見つける試験内容がありました。
「山廃酛」、「セルレニン耐性酵母」、「五百万石」、「山田錦」の区別も要求されています。
「山廃酛」を使用したお酒:(上記の表の)②
「セルレニン耐性酵母」を使用したお酒:➀
「五百万石」を使用したお酒:③
「山田錦」を使用したお酒:➀ ②
SAKE DIPLOMAを目指すような受験者ですから、特定名称酒を探し出す試験ではほとんどが正解となり、差がつかない可能性があります。
従いまして、上記のような酵母や酒造好適米品種の問題、焼酎の種類の特定、テイスティングでの「外観・香り・味わい」で点数をしっかり確保すること(少なくとも大きく外さないこと)が必要になってきます。
4.テイスティング点数配分
2017年J.S.A.は「テイスティングの項目別点数配分の公表について」という画期的な発表を行いました。
J.S.A. SAKE DIPLOMAの項目別点数配分は手元にありませんが、「J.S.A. ソムリエ・ワインエキスパート」では以下の通りです。
外観20%、香り28%、味わい20%、その他の項目10%、収穫年3%、生産地6%、主なブドウ品種9%、飲料の銘柄各2%。
J.S.A. SAKE DIPLOMAも同じ傾向と考えられます。
ポイントは「銘柄」だけを当てても、それだけではさほど点数にはならないことです(勿論、これが大外れで他の項目が完璧ということはまずありませんが)。
J.S.A. ソムリエ・ワインエキスパートのテイスティングで、外観、香り、味わいで全体の68%もあるということは、この3項目が如何に大事になってくるかですね。そして、これを落とす(下記の選択数を超えるミスも含め)と、全体的に点数が取りにくくなります。
更に
「( )内に表記されている規定選択数分をマークしてください。規定選択数より多くマークした場合はその設問内の解答が無効となります。」
という注意がありました。(太字と下線は筆者)
規定選択数は個々のテイスティング品種により変わってくるので(なんと試験の途中で気が付きました!)、選択数がオーバーしないように必死で数えました。こちらも注意が必要です。
2018年10月10日行われた第二次試験もテイスティングの時間は30分です。
2019年も5~6品種が出されるようでしたら、テイスティングは相当に忙しく、時間配分が非常に大事です。じっくりと考えている時間はありません。瞬時に判断する癖をつけておく必要があります。最初にアル添ありかどうか、吟醸酒かそうでないかを直ぐに見極めるのが大事ですね。
そして見極めがついたら、それに対する標準コメントが即、頭にいくつも浮かぶくらいにならないといけません。そこから当日のテイスティングで合致するような項目を選んでいくというようなプロセスです。
「第4章日本酒のテイスティング」の部分や、「No.1ソムリエが語る、新しい日本酒の味わい方」(田崎真也 SB新書)のコメント部分を参照なさって下さい。
ポイントは特定名称酒に特徴的な表現を徹底して記憶し、それがメモを見ないで口頭でもでてくるように練習しておくことが大事です。(これは言うのは簡単ですが、実際はなかなか難しいです。私はテキストの香りと味わいのコメント部分を合計190回ほど音読しましたが、それでも完全に覚えられませんでした...)
また、慣れている方が殆どだと思いますが、マークシート方式ですので、用意する鉛筆・シャープの芯は尖らせない(細くしない)工夫も大事です(マーク箇所が多いので、マークに時間がかかると、全体的なロス時間は大きくなります)。
(参考)
テイスティングの模範解答は下記J.S.A.のHP。
https://www.sommelier.jp/jg1SD7gbalf2/2017te_sa.pdf
5.論述試験
J.S.A.からは論述試験の配点、合否判定での位置づけについては特に発表はなく、不明です。しかし、第二次試験でテイスティングの時間が30分に対し、論述試験の時間が20分あることからみると、試験全体で40%の時間を占める論述試験はやはり合否には重要な位置づけであることは間違いないでしょう。
2017年の問題は「山廃・生酛の現状と将来の展望について」でした。
制限時間20分でA4 一枚分を書くのは結構大変です。
2017年の試験では隣の席の若い女性の受験者が時々消しゴムを使って書いては消したりと奮闘されていました。(結構私の方にも消しゴムを使う時の机の振動が伝わってきました)
内容は勿論大事ですが、20分の間にA4の用紙を埋めることができるか、時間との闘いですね。(勿論、字の大きさや書き方の問題はありますが)
「山廃・生酛の現状と将来の展望について」の「現状」については酵母のシェアーの情報である、「速醸系約90%、山廃酛系約9%、生酛約1%」が記述されているかどうかは大きなポイントになると思いました。
最初に全体構想をまとめ(基本は「起承転結」のスタイルでしょうね)、一気にサラサラと書いていく必要があります。
今からの準備として特にお勧めしたいのは、漢字の練習です。
発酵、酵母、酵素、麹、生酛、山廃、吟醸、純米酒、精米歩合、醪、滓引き、浸漬、雫搾り、貴醸酒、杜氏、などkey wordとなるような漢字はすらすら書けるように練習されたらいいと思います。
20分での論述なので、「どんな漢字だったかな?」と漢字の書き方を思い出している時間はありません。手が勝手に動いて漢字を書いているくらいまで練習しておく必要があります。当然、「ひらがな」よりは漢字で書いた方が印象が全然違いますよね(大昔の高校での日本史の試験ではひらがなでの解答は不正解扱いでした)。
2018年も2017年と同様、課題が一つとのことでした。
「セルレニン耐性酵母について説明し、あなたの意見を述べなさい。」だったそうです。
ご自分で論述試験の問題・課題を想定し、作ってみるのもとても役に立ちます。
最初に「模範解答」をテキストを参照しながら自分でつくり、次は「模範解答」を見ないで書いてみるというようなやり方ですね。
ここまでお読みいただきまして有難うございました。
J.S.A. SAKE DIPLOMA 二次試験対策(2): 焼酎について
J.S.A. SAKE DIPLOMA 二次試験対策(3): 論述試験について
もuploadしております。宜しければご参照ください。
以上、ご参考になれば嬉しいです。