KIOTOPARISの日記

Wineと日本酒、その他楽しいこと

ワイン会を楽しもう(2)

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ワイン会では各自ワインを持ち込み、持ち込んだワイン代の清算はしないことが多いですね。

 

今回は持ち込みワイン価格を自己申告していただき、平均価格の差額を参加者で清算するという方法を取り入れてみました。

 

参加者10名、持ち込みワイン10本です。下記がワインと「申告価格」、「差額」です。

 

参加者

ワイン名

申告価格(円)

差額(当日清算

Note

Y夫妻

Champagne Perrier-Jouët NV Brut

3,500

-2,070

お二人で4,140円支払

Y夫妻

Champagne Perrier-Jouët NV Brut

3,500

-2,070

K夫妻

Le G De Chateau Guiraud 2017

2,200

-3,370

お二人で3,060円受取

K夫妻

LUCE Della Vite Toscana 2013

12,000

6,430

YN

Beau Paysage Tsugane La Bois 2013

6,000

430

430円受取

OK

Evening Land Chardonnay Seven Springs

6,000

430

430円受取

N

Vintage Tunina Jermann 2015

8,500

2,930

2,930円受取

OT

Montevetrano Colli di Salerno 2013

5,000

-570

570円支払

AO

Champagne Des Amoureux Rosé Brut NV

7,500

1,930

お二人で2,140円支払

AM

Vinceller 2017

1,500

-4,070

 

 

 

 

 

合計

 

55,700

0

 

平均価格

ワイン金額÷10名

5,570

 

 

 

支払いとなる金額は幹事が事前に現金で用意し、当日支払。受け取る場合も当日集金しました。

 

課題は、

1)     価格は100円単位の自己申告価格にしましたが、ワインを購入する方法、申告価格設定は各人バラバラです。例えばBeau Paysage Tsugane La Bois 2013を持ち込んだ方は幸運にも抽選のルートで購入できたためその時の購入価格にしていますが、オークション等では1本23,000円程にもなっています。Montevetrano Colli di Salerno 2013の5,000円は格安ですし、シャンパンのChampagne Perrier-Jouët NV Brutも1本3,500円なら結構いいお値段と思います。半面、ワインショップ等で購入された場合は、全く普通のお店の価格設定ですね。この差が出てしまいます。

2)     当初の予定では平均ワイン価格を5,000円台にと思っていて、それはOKでした。そしてレアワインがかなり集まりました。半面、申告価格が分かると、「自分ならその価格では購入しない」ということもありますね。

3)     幹事或いは(その会の)ワイン担当者が全てワインを用意し、ワイン代を各人均等に負担するという方法もありますが、今回のようにかなりのレアワインを仕入れ値で確保できるというような機会は貴重です。

 

結論として、レアワインを市場価格と比較して超安値で出していただくということは(損はしていないとは言っても)常時期待はできませんが、参加者に納得がえられるようであれば、このような方法はタマにはいいでしょうね。

 

1本、超高価なワインをみんなで味わいたいときには、そのワイン価格を均等負担という手もあるでしょう。

 

国際的に有名な某ソムリエのお話では、ワイン価格というのは購入価格ではなく、実勢価格であり、「ワインは現金と同じ」、というような趣旨をお話しされていました。

 

従って、Beau Paysage Tsugane La Bois 2013が6,000円というのは、本来は無理筋ですよね。

(このお値段で出していただいた方に感謝です。そのご本人は、Tsuganeが「カルトワイン化」していることには大いに憤りがあるようで、この機会に参加者のみならずサーヴしてくれたソムリエさんにも味わっていただきたかったようです。)

 

皆さま、いかがだったでしょうか? ご参考になれば幸いです。

No healthy level of alcohol consumption, says major studyというショックなニュース

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No healthy level of alcohol consumption, says major studyというショックなニュース  ⇒  これって一方的じゃない??

 

2018年8月23日付けのGuardianに、「アルコール摂取に健康なレベルはない」という記事が載っていました。結構、話題を呼びましたね。以下がその記事です。

https://www.theguardian.com/society/2018/aug/23/no-healthy-level-of-alcohol-consumption-says-major-study

 

< 記事の内容 抜粋 >

「時々飲むだけでも健康に害がある」ということで、呑み助にとっては一大事のニュース。

シアトルのワシントン大学の研究でLancetに掲載された。1990年から2016年にわたり195か国で調査したもので、694試験で通常の飲酒について調べ、2800万人が含まれる592試験で健康上のリスクを調査したもの。

それによると、アルコールで2016年に280万人が死亡しているとのこと。未熟児での死亡や障害を引き起こす一番のリスクファクターで、15歳から49歳のグループでは20%を占めるとのこと。

多くの国でのガイドラインは1日グラス1杯~2杯のワインやビールは健康上のベネフィットがあるとしているが、この研究では「飲酒に安全なレベルはない」としている。少量のアルコール摂取は循環器疾患の予防になり、糖尿病や脳卒中の予防にもなりうるとはしているが、リスクの方が大きいとしている。50歳以上では癌のリスクが大きく、特に女性。英国では乳がんの13人に1人はアルコール関連とか。

世界的にみると若年層でのアルコール関連死は結核(死亡の1.4%)、道路での傷害(同1.2%)、自傷(同1.1%)だって。

 

☆☆☆

などなど、飲酒に対しネガな話が続くのですが、そこは流石にGuardian。最後に反対意見(?)も入れてバランスをとっています。

 

それはケンブリッジ大学のDavid Spiegelhalter教授(リスク・コミュケーションの専門家)の話。内容は簡単に言うと、「適度に飲んでる人の害はとても低いレベル。」「クルマの運転でも安全なレベルというのはなく、政府だって運転を避けるようにとは言っていない。生活していくには安全なレベルというのはないんだし、リスクがあるからといって、じゃあ止めたらと勧める人はいない。」って。

 

☆☆☆☆☆

この研究では、アルコール飲料の種類(蒸留酒とか果実酒など)によるリスクの差は見ていません(仮にあるとして)。またアルコールの飲み方(イッキ飲みとかの短時間での摂取かどうか)や、アルコールを分解するアルコール脱水素酵素(ADH2)・アセトアルデヒド脱水素酵素(ALHD2)の酵素活性などの遺伝子的な「お酒の強さ」体質とアルコール摂取リスク分析もありません。単純にアルコール飲料をアルコール量に換算して研究を纏めています(1 unit は100%アルコールで10ml)。これはあまりにも大雑把ではないか、果たして現実の世界(real world)のデータといえるのか疑問に思いますね。

 

この記事を支持する側からは、これまではほぼ毎日夜更けまでアルコールを飲み続けていたとか、お酒を飲んで意識が無くなったことがあるとか、酔っぱらって無茶苦茶散財してしまったとか、どちらかというとアルコール依存症と言ってもいいような方から「飲酒をやめてよかった」という投稿がありました。そんな飲酒レベルなら最初から飲まない方がいいですよね。

 

半面、「酒は百薬の長」、「適正量ならいい」、「飲まない方がストレス」とか、いろいろ意見がありますね。

 

このようなアルコール摂取に対してのnagative dataを単純に取り上げて、アルコール(私の場合はワインと日本酒)を悪者にして、アルコール飲料の税金を上げたり、販売規制などにつながらないか、心配です。

まあ、人様にご迷惑をかけないで、ご自身の肝機能とお財布と相談し、ほどほどに楽しみましょう。

 

J.S.A. SAKE DIPLOMA 二次試験対策 (3)

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SAKE DIPLOMAの1次試験お疲れさまでした。

2017年のSAKE DIPLOMAを受験した時に、2次の論述試験対策として自分で作成した問題と解答70問です。

 

1次試験が終わり、猛勉強で燃え尽きた感じの方も多いと思います。私もそうでしたが、2次試験に向けてなかなかモチベーションは続かないもんですね。でも、あと少しですよ。

2017年は最初ということで、どんな論述試験になるのか全く分からなく状態で暗中模索でした。ある人がブログに投稿した内容では、その方がソムリエ協会に電話して直接聞いた情報として、「細かいことは言えないが、テキストの内容の一部を口頭で論じてもらいます」とのこと。

試験案内では「論述」と言ってるのにとこれはオカシイと、私が直接ソムリエ協会にメールで確認しましたら、「個別での回答は差し控えさせて頂きます。Xさんという方がおっしゃっているような内容で回答することは協会としてはいたしておりません」とのことでした。これ以上は言えなかったでしょうが、ソムリエ協会側から迅速に、キッチリとお返事いただいたことには今でも感謝しています。

(2次試験後、その方のブログからは「口頭で」云々は削除され、謝罪とともに内容が変更されてはいました。)

 

2017年の2次試験は「山廃、生酛の現状と将来の展望について」という題で、1問でした。

このような論述試験を予想していた方は極めて少数派でした。

今年も同じような傾向の問題で1問なのか、複数問になるのかわかりませんが、とりあえずこれまで身に着けた知識の整理をしておくのが宜しいかと存じます。

 

「現状」は知識や客観的情報ベースでの回答になりますが、「将来の展望」はどちらかというと、現状を踏まえての個人の考え・考察ですよね。今年も2017年や2018年と同じように日本酒の知識と受験者ご自身の考えが問われるかもしれません。

(個人の考えであれば、余程論理構成が無茶苦茶でなければ減点対象にはならないと考えます。2017年の論述試験は、A4用紙を埋めた場合は、ある程度の(小さくはない)「加点」となり、結果的にはテイスティングで合格ボーダーラインにいる人たちへは「救済措置」になったのかもしれません。そのような書き込みをしていた方もいましたが、これは全く個人的な推測です。2019年は3回目なので、「救済措置」はないかもしれませんね。)

 

細かな知識は1次試験で既にチェックされていますので(2次試験受験者は1次試験に合格していますので)、2次試験対策は大きな視点から日本酒をみるような対応準備がいいのかもしれません

 

また、2017年の試験では1次も含め料理との相性は殆ど出ませんでしたが、2018年は相性や供出温度も出題されたようです。この辺もキッチリと整理されておいた方がいいですね。

 

論述試験の時間は20分ですので、A4用紙を埋めるには結構スピードが要ります。短時間に論旨を頭で組み立て、ドンドン書いていくことが必要ですね。

key wordの漢字練習もお忘れなく

 

2018年は「セルレニン耐性酵母について説明し、あなたの意見を述べなさい」というような題だったようで、2017年と同じような傾向ですね。

 

70問を作ってみました。どうぞご参考になさって下さい。

これ以外にもご自分で課題を作り、その模範解答を用意するのも役立ちます。

受験者同士で課題と解答を交換するのもいいですね。

 

SAKE DIPLOMA 2次試験対策 論述試験向け知識確認

(解答欄のページや内容は2017年のテキストのものです。今年のテキストで内容を再確認ください。)

 

No

  問題

         解答案

 

2016年ソムリエ2次試験論述問題

(ご参考まで)

テイスティング2番のワインをワイン初心者に説明せよ(この年の二次試験の2番はシラーズだったので、その特徴を説明する)

お客さまがワインを冷やして飲みたいと言ってるので料理も併せて何をすすめるか

ひやおろしを説明せよ ⇒「春にできた新酒をひと夏熟成させ、秋に出荷したもの」

1

日本酒の定義を答えよ

(米麹= malted rice)

酒税法による清酒の定義の概要は 

①   米、米麹、水を原料として発酵させ、濾したもの(アルコール分が22度未満のもの)

②   米、米麹、水及び清酒粕その他政令で定める物品を原料として発酵させ、濾したもの((アルコール分が22度未満のもの)

醸造アルコールを用いる場合でも、特定名称酒では重量比で白米の重量の10%を超えてはならない(普通酒では50%を超えてはならない)。

特定名称酒に使用できるのは三等以上の米に限られている。

 

2015年12月に地理的表示「日本酒」が指定され、原料米として国内産米のみを使い、国内で製造された清酒のみが「日本酒」を名乗れる。(p11)

清酒の製法品質表示基準」は1989(平成元)年11月に定められ(特定名称酒等)、2003(平成15)年10月末に一部改正(純米酒精米歩合70%以下の削除、こうじ米の使用割合15%以上の追加)となった。

 

1. 日本酒は、弥生時代から造られていたと推測され、奈良時代には稲作も安定し、朝廷のために造られるようになった伝統的な醸造酒である。

2. 米、米麹、水を原料として、発酵させて、こしたものを『清酒』というが、2015年12月に地理的表示「日本酒」が指定され、原料米として国内産米のみを使い、国内で製造された清酒のみが「日本酒」を名乗れる。

3. 現在多くの日本酒はほぼ透明でクリアな外観に仕上げられている。乳製品の香りと、米と麹に由来する香りがある。酵母由来の果実香、熟成由来の香りなどがある。

4. ワインに比べアルコール度数は高く、糖度は2.5~4.5%と高めで、酸度は低く、白ワインに含まれる量の1/7~1/10の量の有機酸が含まれる。

5. 日本酒を飲む際の最大の特徴が、飲料温度の幅が広い事であり、氷温から燗酒まで60℃以上の差がある。

6. 2013年12月に「和食:日本人の伝統的食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録され、日本酒の海外輸出数量も右肩上がりである。(以上401語)

2

杜氏とは何か

日本酒における醸造責任者で、酒造りのトップ技術者。杜氏の下に様々な役割の担当者、蔵人が配置され、酒造りのチームをまとめるチームリーダーである。(p105)

3

吟醸酒とは

 

①    吟醸酒という言葉が文献に出てくるのは1927年(昭和2年)の日本醸造協会誌の鹿又親(かのまた・ちかし)氏の論説「吟醸の経済化について」。(p20)

②    吟醸酒は、吟醸造り専用の優良酵母、精米、原料米の処理、発酵の管理から瓶詰・出荷に至るまでの高度に完成された吟醸造り技術の開発普及により商品化が可能になった。(p12)

③    特定名称酒の分類では、米、米麹、醸造アルコールを原料として、精米歩合が60%以下、麹米使用比率が15%以上で、吟醸造り、固有の香味、色択が良好なもの。(p12)

4

スパークリング日本酒の製造方法

① 活性清酒(醪を荒ごしし濁ったままの酵母入り日本酒)、②瓶内発酵、③タンクで二次発酵させて更に炭酸ガスを吹き込み瓶詰したもの、④通常の日本酒に炭酸ガスを吹き込み瓶詰したもの。(p99)

5

赤米酒(あかまいしゅ)とは

古代米の赤い米を日本酒の原料米の一部に用いて造ったもの。赤い色はアントシアニン。一般の飯米のように「八分づき」にすれば赤い色素を失う。ポリフェノールに苦味があるため、甘口に仕上げているものが多い(p100)苺に合う。

6

貴醸酒とは

(日本酒を加えるタイミングは様々で、多くは)三段仕込みの留添の仕込みの時に、汲水(くみみず)の水を減らし、その分に相当する量の日本酒を添加し発酵させたもの。添加直後の醪のアルコール度数が10%を超えないように、かつ低すぎないようにして仕込む。日本酒度がマイナス40程と、梅酒並みに甘く、酸度は3 ml位でリンゴ酸が多く、さっぱりとした酸味。(p100)、 カッコ部分「新しい日本酒の味わい方」(p228)

7

腐造とはなにか

醪が腐ること。酸敗と同じ。(p16) 「腐造乳酸菌」という菌もある。

酸度が異様に上がり、酵母が増えなくなってアルコールがちゃんと生成されず、「腐造」に追い込まれる。

8

氷温熟成とは何か

酒を熟成させる方法の一つとして、摂氏0~-1℃で熟成させる方法。(p144)

メラノイジンによる変化を抑えたい場合の保存方法。(p156)

9

高精米にした時の特徴

 

(磨く)

①    玄米には7~8%程度タンパク質が含まれており、原料米のタンパク質含有率が高いと吸水率は低下し、蒸米の消化率も悪くなる。またタンパク質が多すぎると製生酒のアミノ酸度が増して、雑味につながりやすく、色や香味が劣化しやすくなる。

②    高精米ではタンパク質を大きく低減させることができる。

③    一般的に高精米程、白米水分が低い。(p54)

④    精米直後の米は摩擦によって水分が失われており、そのまま浸漬すると急速に水分を吸ってべたついた蒸米になりやすい。そのため、「枯らし」にて最低でも2週間ほど袋に入れて保管。(p29)

10

平行複式発酵とは

日本酒の場合、醪の中で、蒸米のでんぷんが麹の酵素によって糖化されるのと同時並行して、酵母によるアルコール発酵が行われる。このような発酵パターンを平行複式発酵という。(p62, 80) Cf. 単式発酵(ワイン)、単行複式発酵(ビール)(p62)

11

醪にアルコール添加する効用

①    醪にアルコールを適量添加すると、香りが高く「すっきりとした味」になる。(p12)

②    酒をシャープにしてくれる(君嶋氏、セミナー)

③    さらに、アルコール添加には、清酒の香味を劣化させる乳酸菌(火落ち菌)の増殖を防止する効果もある(p12, p90) 

④    木の芽、青草、新緑、青竹のgreenの香りは吟醸酒の中でも醸造用アルコールを加えた吟醸酒大吟醸酒に多くみられる。(p134)

⑤    カラッとあがった天ぷらにはアル添があったほうがいい(君嶋氏、セミナー)

12

特定名称酒での麹米使用割合15%の意味

(p89)

2004年に純米酒精米歩合規定(70%以下)が撤廃されたときに、それによる品質低下を防止するとともに、特定名称酒全体について一定の品質を確保するために新たに設けられた要件。根拠としては、

①    国税庁からは15%以上使わないと酵素力価が不足し糖化・発酵がうまくいかないとしている。

②    杜氏の長年の経験から15%以上とすれば、日本酒本来の酒質をもつ、一応満足できる日本酒ができるとしている。

③    鑑評会出品酒の麹米使用割合をみると、最小でも15%であること。

13

YK35とは

Yは山田錦、Kはきょうかい9号酵母。35は精米歩合(p20)1990年代初頭以前の話。

14

竪型精米機とは

これまで「足踏み精米」や水車精米、横型精米機と進化したが、竪型精米機により金剛ロールを回転させ米の外側から削り取る仕組み(p27)

15

一麹、二酛(酒母)、三造り(醪)

麹造りは酒造りの中で最も重要とされている(p52) 良い酒を造るには何よりも麹造りが大事であるが、第二に挙げられた酛(酒母)、つまり大量に培養された酵母の力も酒の出来に大きく影響する。(p94)

16

日本酒醪の乳酸菌に対する防御策

①    土足厳禁、器具やタンクの洗浄・殺菌・乾燥、手洗い慣行による高い衛生意識、

②    比較的低pHの酵母を用いて仕込むため、乳酸菌の増殖を抑えつつ、醪に純粋酵母を大量に添加し、目的以外の微生物を数で圧倒する

③    三段仕込みにて酒母に多く含まれている酵母数、酸、アルコールが一度に薄まらないために、乳酸菌が入り込む隙をなくしている

④    日本酒醪は17℃以下の低温発酵であり、かつスタート時の醪温度は通常10℃以下と低温であり、酵母の増殖は可能であっても、乳酸菌の増殖には不利な温度帯。日本酒の酵母は乳酸菌より低温に強い。(p60, 84)

17

酵母のシェアー

速醸系が90%、山廃酛9%、生酛約1% (p77)

18

酵母とは

自然界の花から分離された酵母で、現在の主流は田中久保(ひさやす)教授が分離したもの。ストレートにその花の香りを生成するものではないようだが、既存酵母にはない特徴の香味を生む可能性がある。(p97)

19

滓引きとは

槽などによる搾りではまだ滓が混在して少しにごりがある。そこで貯蔵タンクなどの中で数日静置すると、滓が沈殿し、上の部分は澄んでくる。滓に触れない口(上呑み)から酒を抽出する作業。(p92)

20

酒米自給自足、移入依存、自給移出タイプの県

①    酒米自給自足タイプの県: 秋田、山形、宮城、新潟。

②    酒米移入依存タイプの府県:福島、石川、京都。

③    酒米自給移出タイプの県: 長野、兵庫、広島。(p127)

21

利猪口の蛇の目の意味

ブルーとホワイトの蛇の目柄は、イエローの反対色であるブルーによってホワイトの部分にイエローがはっきりと写し出される。さらに、ブルーの部分には、白濁の状態が白磁の上よりもはっきりとしており、透明度、清澄度を確認できる。(p130)

22

「冴え」とは何か

伝統的な日本酒の色合いを表現する言葉の一つとして「冴え」がある。もともとの意味は「澄みきること」とあるので、日本酒に対しても、美しく透き通った光沢のある状態を指して表現されている。(p130)

23

「青冴え」

少しグリーンがかった状態である場合に、ポジティブな表現として使われている。

24

「照り」とは何か

もともと光沢があり、艶があることを示す言葉だが、日本酒に対しては、「山吹色に艶がある状態」を示している(p131)

25

「つわり香」とは何か

極端なヨーグルト様な香りで、ネガティヴな香として扱われる(p135) (追加:「ダイアセチル」で発酵バター、ヨーグルト様や甘い匂い)

26

「日光臭」

日本酒が太陽光や紫外線に晒されることによって発生する香り。日本酒は太陽光に非常に弱く、短時間の照射でも不快な香りが発生する。(注:テキストには記載がない)

27

日本酒の保存

①   搾りたての日本酒に感じる甘味と酸味、苦味のバランス上のバラつきは、熟成により調和して滑らかに溶け込む。開封後の酒の保存による変化のリスクはワインに比べ遥かに少ないため、グラス売りが容易。

②   火入れをしていない生酒の保存は、火落ちのリスクを抑えるために氷点貯蔵が理想的。(p156)  (日本酒の氷点は-8~-13℃程。-4℃くらいで貯蔵。高木酒造は-6℃で7万本入るとのこと。)

③   熟成古酒のような熟成を望む場合は、ワインセラーのような14℃くらいで保存。メラノイジンによる変化を抑えたい場合には、氷点に近い低温で保存する。(p156)

28

適温(p144)

①   普通酒本醸造酒純米酒の生酒タイプ:6~8℃、

②   吟醸酒:8~12度

③   普通酒本醸造酒純米酒:15~18℃

④   生酛系純米酒、熟成古酒:18~20℃

⑤   燗であれば45℃前後が旨味や苦味、酸味とのバランスがとれる(40℃前後では苦味の印象がよりマイルド)エチルアルコールの沸点は78.3℃

29

甘辛感に関する日本酒度について

①    日本酒には2.5~4.5%の糖分が含まれている。その測定に日本酒度があり、-の数値が高いほど“甘口”と予測できる。

②    しかし、糖分が同じでもアルコール度数が高くなると比重は軽くなるので、数値的には辛口であってもアルコール刺激による甘味度合いがアップすることを加えると、官能的にはより甘く感じる。

③    さらに酸の量が多いと甘味と相殺しあい、より辛口に感じられる。(p137-138)

30

酸度

(p138)

酸度:1.0以下の場合はより柔らかく軽快な印象。1.5を超えるとよりしっかりしたストラクチャーと余韻のフレッシュ感。コハク酸は旨味や苦味を含みコクを与え、乳酸はふくよかさにも繋がり、リンゴ酸やクエン酸は爽やかさを感じさせる。

31

アミノ酸

アミノ酸度:吟醸酒では1.0~1.3程度。純米酒では1.5前後が多くみられ、低精米酒や熟成古酒では2.0を超えるものもある。(p138)

32

アミノ酸による味わい

日本酒にふくよかさ、濃厚さ、濃熟感、広がり、コクを与える。

33

甘味、酸味、苦味、旨味を口中で感じる各時点とは

①    第一印象(=アタック。日本酒が舌先に触れた瞬間、上顎の前方に意識を移して感じる⇒甘味とボリューム感)

②    広がり(口中前方より後方にかけて広がる味わいの印象、舌全体に意識を集中して旨味を意識する ⇒甘味と酸味のバランス、旨味の印象、甘味に対する酸味と苦味と旨味のバランス)

③    後味(口中後方に残る印象⇒主に苦味と酸味の印象(バランス)、甘味と苦味、酸味のバランスに対する酸味の存在)

④    余韻(特に「ふくみ香」、「もどり香」などと言われるafter flavorの印象や味わいを含めた持続時間などについて表現する) (p139)一部改(「新しい日本酒の味わい方」p37)

34

コクとは何か

日本酒におけるコクは、アルコールのボリュームや残糖分からの甘味と、後半に広がるアミノ酸コハク酸などからの苦味とのバランスから感じられる印象(p139)

35

キレとは何か

後味の余韻がいつまでも残らず、すっと抜けるようなお酒を「キレがある」と表現する。よく「コク」と対にして語られることがあるが、コクは味の変化や種類が豊かでバランスが良いこと、キレはその後の後味についての評価なので、コクもキレもある、という状態も十分ありえる。http://sake-labo.com/a01-05-002.html (August, 2017)

36

楽しみ方へのアドバイス

飲み頃温度、理想の器、相性のいい料理などを加える(p141)

猪口は、液面が狭く、芳香成分を留める空間も狭いことから、香りの印象は穏やかであるため、普通酒本醸造酒純米酒などの燗酒を味わうのに向く。(p148)

37

「もっきり」とは何か

升の中にコップ(グラス)が置かれ、溢れるほどの量を注ぐこと(p149)

38

火落ちとはなにか

アルコールに強い火落ち菌と呼ばれるある乳酸菌 (Lactobacillus属) による変質で、不快な香りを伴う現象 (p156)

39

握り寿司と日本酒

握り寿司は複数のネタの寿司を少量づつ食べることが一般的なので、ネタを変えるごとに酒のタイプを選ぶより、酒のタイプを変えながら合うネタを選ぶ方法がある。例えば、吟醸酒タイプから特別純米酒純米酒、山廃系酒母純米酒、熟成古酒のような順。(p162)

40

椀盛に合わせる酒

椀盛は、汁をソースと見立て、そのタイプに酒を合わせる方法 (p164)

41

ひやおろし」とは

 

 

①    寒造りで醸造され、火入れされて貯蔵した清酒を、その温度と気温差が同じくらいになるその年の秋に(旧暦の9月9日だが、足並みが揃わない)火入れせずに詰めて出荷すること。この時期になると、新酒のあらさすっかり消えて、丸みが出て程良く熟成した飲み頃の酒となる。ほとんどが原酒で、一般的にアルコール度数は高く、濃い。

②    合わせる料理としては、イノシシの味噌漬け焼き、カマンベールのようなクリーミーなチーズ、秋鮭、鍋物

42

秋上がりとは

①    寒造りで製造した清酒を貯蔵して夏を越す。そして秋になる頃にその酒質が向上していること(秋に美味しくなっている状態)を表現した言葉 (p33)雄町の記載 元々は灘の言葉。

②    7号、9号、701号、901号酵母などの伝統酵母を用いて醸した酒には安定感があり、夏を越して香りは低く落ち着いても、味わいがぐっとよくなる状態。(p94)

43

甑倒し(こしきだおし)

「寒造り」も終盤となり、最後の醪(もろみ)の仕込みに使う米を蒸し終えること。蒸米(ふかし)をしていた甑を大釜から外し、それを横に倒して洗うことから、このように呼ばれた。「甑倒し」当日は「蒸米」の無事終了を「酒造の祖神」に感謝し、蔵人によるお祝いが催される。

44

杉玉(すぎだま)

 

酒琳(さかばやし)ともいう。酒蔵なら必ず軒先などに吊るしてある。 古来、造り酒屋の看板として杉の葉を束ねて軒先に吊るし、その年の酒造りと酒造の神(松尾様)のご加護を願う風習があった。これを“酒琳”(さかばやし)と言って、後に球状に造られたことから「杉玉」と言うようになったよう。 青々とした真新しい杉玉が吊るされると新酒が出来た目印となり、月日と共に色が褪せる様は酒の熟成度を表しているかのようでもある。(p16)

45

寒造り(かんづくり)

寒い季節に仕込みをすること。年間の仕込みの中で、冬から春のあいだに仕込むのが、昔から最も良い出来だったことから「寒造り」が酒造の主流となって広まった。

46

斗壜囲い(とびんがこい)

斗瓶取(とびんとり)された雫酒を斗瓶で一定期間保存、滓引き(おりびき)および熟成させること。極端に数が少なく、そのほとんどが鑑評会用出品酒として用いられる貴重な酒。 (注:テキストには記載がない)

47

日本酒の熟成をワインやウィスキーと比較せよ

①    ワインやウィスキーなどでは酸化・還元状態による変化の影響が大きいが、日本酒の熟成はアミノ化合物と糖類の反応によって褐色物質であるメラノイジンを生成するメイラード反応(アミノカルボニル反応の一種)の影響が大きい。

②    この反応は加熱によって急速に進んでいくが(155 ℃をピークに)、低い温度でもゆっくり進む。

③    したがって、精米歩合が高いためにタンパク質やアミノ酸類の多い純米酒の方が大吟醸よりも変化が大きく、低温熟成より常温熟成の方が早く進む。(p24,p156)(「新しい日本酒の味わい方」(p212)

48

日本酒をワイングラスで味わう場合の違い

①    口元が窄(すぼ)んだ形状のグラスは、ワインの場合と同様に液体を注いだ後の空間に芳香成分が溜まりやすく、より強く、よりはっきりと香りを認識できる。

②    グラスの側面が真っ直ぐに近いほど、感じる香りはよりストレートに感じられ、側面のカーブが大きいほど複雑性が増す。(p150) 例えば、吟醸酒をチューリップ型のグラスの底から1/4程度まで注ぐことで、香りがpureでより華やかに感じられる。味わいは、吟醸酒が口元で細くなるが、スピードが速いことにより、第一印象に酸味をより強く感じることになり、爽やかな印象で味わうことになる。

③    熟成古酒にブランディ―グラス。香りをより複雑に、より芳醇に感じるために効果的な形状。苦味をマスキングするために甘味をより強調する場合はアルマニャック用のグラスのような、ややチューリップ型に近い形状のグラスもよい(p152)

49

三浦仙三

明治期の東広島の醸造家で、この地の軟水に合う、低温長期仕込みを開発した。吟醸仕込みの基礎の造り方である。(p105,126)

50

新潟の低迷を宮城と比較せよ

新潟の低迷は純米酒への切り替えが遅れたこと。半面、宮城は純米酒にて落ちていない。(セミナーでの君嶋氏のコメント)

51

日本酒と和食の相性

(p158)

①    リフレッシュさせる(すっきりとした味わいの日本酒が料理の味わいの邪魔にならない)

②    濃い味わいを和らげる(濃口醤油の強い塩味を日本酒の甘さで和らげる)

③    上と逆で、濃い味わいで酒量を上げる

④    料理の味わいを引き立てる

⑤    日本酒は料理の味わいを補う(ワイン同様に料理のソース役)

日本酒で合って、ワインで合わない料理:ワインは青い色の魚や酢でしめたものは合わない。(君嶋氏、セミナー)

52

アル添した(大)吟醸酒の香は?

①    木の芽、青草、新緑、青竹などのグリーンの香り

②    木系の香り、根菜系の香り(p134, p136)

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生酒にみられる香

①    白桃、マスカット、メロン、ライチなどの果実香

②    花の香り(フレッシュで湿った感じ)

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熟成酒にみられる香

①    枯葉(紅茶、ブーアール茶、タバコの葉、月桂樹の葉

②    木系の香り、根菜類の香り(人参、ゴボウ、根、朝鮮人参)

③    茸香 ④ スパイスやナッツ系の香り、⑤ ロースト香(カラメル、コーヒー)

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麹由来の香

①    マッシュルーム、②ナッツ系で栗様の香り、カマンベールの白カビの香り

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造り方の比較

①    ワインの「畑」に対し、日本酒は「技」

②    日本酒造りはワイン造りよりも酵母への依存度が大きい。(p10)

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発酵温度

白ワインの発酵温度は15~20℃(12~20℃の説)。赤ワインの発酵温度は25~30℃(25~32℃の説)。日本酒の酵母は8~17℃の低温で増殖・発酵できる(p59)が 焼酎の発酵温度は30℃前後と高い。(p193)

MLFは低温(14~15℃)より中・高温(20~25℃)で早く生起、発酵完結日数も早くなる。

58

仕込み温度

①    速醸系では仕込み温度が18~20℃と比較的高温(蒸米の溶解や糖化が早い)

②    高温糖化酒母:55℃

③    生酛系では品温を5~9℃。(寒酛)

④    山廃酛:9℃前後

⑤    秋田流生酛:14~15℃(生酛系にしては高め)

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日本酒と焼酎を製造方法から比較せよ(p192)

①    原料:日本酒は米、米麹、水(+清酒粕他)。焼酎(単式蒸留焼酎)麹(米麹、麦麹)、水、酵母で一次醪をつくり、蒸した主原料(大麦、米、芋など)を加える。

②    焼酎では酒母を一次醪と呼び、日本酒醪相当を二次醪という。

③    日本酒では三段仕込みだが、焼酎では麹は一度にすべてを一次麹に入れる。

④    酵母の発酵温度:日本酒では8~17℃。焼酎では発酵温度が30℃前後と高い。

⑤    日本酒では乳酸を必要とするが、焼酎では必要としない。

⑥    日本酒では醪を濾すが、焼酎では蒸留。

 

1. 連続式蒸留器で蒸留されるアルコール36度未満の連続式蒸留焼酎と、単式蒸留器で蒸留されるアルコール度数45度以下の単式蒸留焼酎に分類される。

2. 単式蒸留焼酎はさらに、泡盛芋焼酎黒糖焼酎米焼酎そば焼酎麦焼酎など、主原料等によってそれぞれに分類される。

3. 焼酎の製法は、醪を漉さずに蒸留したもので、焼酎の一次醪が、日本酒の酒母にあたり、二次醪が日本酒の醪にあたる。芋などの主原料は二次醪に入れ、乳酸の代わりにクエン酸を用いる。

4. 焼酎は多種多様な楽しみ方があり、ストレート、ロック、〇〇割りなど、楽しみ方の自由度は高い。

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酒税法による「こしたもの」とは

酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達では、「「こす」とは、その方法のいかんを問わず、酒類の醪を液状部分とかす部分とに分離するすべての行為をいう。」と取り扱われている。(p11)

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雫搾りとは

醪を搾る(上槽)の方法の一つ。比較的小さなタンクに竹の棒を2,3本渡し、1本に数個づつ、醪を入れた酒袋を吊るす。醪の自重のみで自然落下した日本酒が得られるので、よりきれいな高級酒となる。袋吊りなどとも呼ばれる。(p87)

62

燗酒の理想的な温度

温度の上昇とともに高くなる“甘味度合い”も温度が高ければ甘味度合いも高くなり続けるわけではない。ある温度からエチルアルコールの沸点である78.3℃に近づくほど下がり始め、同時に苦味が強くなる。よりふくよかでまろやかにしながら、旨味や苦味、酸味とのバランスのよさを燗酒の目的とした場合は、45℃前後が理想温度となる。アミノ酸量がより少なく、苦味の印象もよりマイルドであれば、バランス上、温度はもう少し低く40℃前後が理想である。(p145)

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表示禁止事項

①    清酒の製法、品質等が業界において「最高」、「第一」、「代表」等最上級を意味する用語(note:自社に同一の種別または銘柄の清酒が複数ある場合、品質が優れているものに、「極上」、「優良」、「高級」等つけられる)

②    官公庁ご用達またはこれに類似する用語(note:国、地方公共団体など公的機関から受賞した場合にその清酒に表示できる)

③    特定名称酒以外の清酒について特定名称酒に類似する用語。(p15)

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酒造に適した米の要件

①精米中に砕けにくい ②米粒が大きい ③心白がある ④タンパク質が少ない ⑤軟質米である

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山田錦について

1. 1923年山田穂と短稈渡船を人工交配して作られた酒米。1936年山田錦命名された。千粒重が26 g超と粒が大きく、線状心白で、たんぱく質が少ない。砕米率が低く、高精米に向き、良質な米麹を作る。晩生の軟質米

2. 兵庫県が主要産地で、その特徴は、山間、山麓、盆地で、風通しが良く、気温の日較差が大きい。土壌はモンモリロナイトを主体とする粘土質で、Ca, Mg, Kをバランスよく含み、含有量が多い。山田錦総生産量の7割が兵庫県

3. 全国新酒鑑評会で金賞受賞酒の8割は山田錦と言われ、酒造好適米としての評価が高く、北は宮城県、南は鹿児島県まで、栽培地が広がる。

4. 山田錦を醸すと、絹の様になめらかで、奥行きのある芳醇な味わい。酒のボディがしっかりしていて、和食は勿論、フランス料理などとも合わせやすい。(以上333語)

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日本酒造りが冬場に行われる理由を説明しなさい

1. 江戸期以前は通年で日本酒造りがされていたが、17世紀に灘で寒造りが確立された。これにより酒質の向上、腐造の減少が得られたため、幕府も推奨した。

2. 外気温が低い事により、品温を下げたり、低く保つことが容易になる。例えば、蒸米を製麹に使用する温度まで下げたり、酒母の仕込みにおいて、打瀬~膨れ誘導時期に、品温を低く保ったり、酒母の枯らしでは、品温を7℃に下げたりする。留添えの仕込み温度は吟醸酒では6~7℃と低い。

3. この様に品温を低く保つことは、酵母の増殖のコントロールであったり、有害微生物の排除という目的がある一方で、低温で長期発酵する事により、特有の芳香(吟醸香)を得る目的がある。

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提子(ひさげ)とは何か

酒を注ぐ容器で、急須のように蓋つきの器。銚子に酒を補充するための器であったが、江戸時代になると銚子ともいわれるようになった。

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片口(かたくち)とは何か

椀のような器で、一か所に液体を注ぐための口があるもの。

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五百万石について

1. 1938年に当時の新潟県農事試験場にて菊水x新200号の交配から生み出された。1957年に命名新潟県産米の生産量が500万石を突破し、それを記念したもの。

2. 寒冷地向けの早生品種で、大粒で心白があり、蒸し上げた時に粘らずに(さばけがいい)、外硬内軟の理想的な蒸米に仕上がるため、麹が作りやすい。

3. 米質はやや硬く、溶けにくい。その結果、淡麗で爽やかな酒質になる。。

4. 新潟が生産量の50%弱を占め、富山、福井、石川の北陸地方を中心に2府19県で栽培。

5. 2014年の統計では酒造好適米の25%を占め、2位。22,596トンの生産量。

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従来の日本酒の相性とマリアージュの違いについて、それぞれの実例を用いて説明せよ

①   従来、刺身に合うのは日本酒と思っているのは、「濃い味わいを和らげる(濃口醤油の強い塩味を日本酒の甘味で和らげる)」、「逆に濃い味わいで酒量を上げる(塩辛によって日本酒の味わいをより軽快に感じさせる)」、「リフレッシュさせる(すっきりとした味わいの日本酒が料理の邪魔にならない、魚の臭みをリフレッシュさせる)」。

②   料理の味わいを引き立てる点からのマリアージュでは、「日本酒は料理の味わいを引き立てる(青柚子を添えた初夏の爽やかな料理に青竹のような香りの大吟醸)」、「料理の味わいを補う(フォアグラに蜂蜜ソースを添えるように、熟成さえた貴醸酒を合わせる)」。

 

ここまでお読みいただき、お疲れさまでした。

海外からワインを持ち込む? (2)

どんなワインを買ったらいいの?

  1. 2012年からフランスには5回ほどワイン旅行をしました。ワイン購入の予算は1回の旅行で20万円くらいに抑えていますが、どんなワインを買って持ち帰るかというのは大事なポイントですよね。
  2. 最近は日本のネットでのワイン販売も盛んで、かなりいいお値段で出ていることがあります。中にはフランスの大手スーパーで買うより安い場合があります。日本のワインの流通も大きく変わってきたことが伺えます。

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それでも現地では興味あるワインがたくさんありますね。

私が購入のポイントは次の通りです。

  1. 日本での販売価格に対し半額程度になっているもの(日本のネット販売価格より高い価格で設定されたワインがフランスでも多くあります。日本の価格は是非チェックしておきましょう)
  2. 上の写真のシャトー・タルボ2015は日本でのネット価格を調べると1万円くらいの価格設定が多いですが、中にはなんと、税込み6,200円で売られているのがありました。上記の写真では1本€52.95でした。1ユーロを135円で計算すると、€52.95 x 135円 + 150円(税金)= 7,300円程度になります。6,200円はこれより安いですね!こういうことが最近多いのです!このような場合は購入の対象にはしません。
  3. 日本ではまずお目にかかれないレアワイン。例えばシャンパーニュ地方のstill wineであるコトー・シャンプノワCoteau-Champenoisは、日本ではかなり入手困難です(そしてお値段も日本では1本が1万円以上になります)。もともとは生産量が550ヘクトリットル程度なので、少ないのですね。パリのスーパーでも見つかりません。しかし、ランスReimsではワイン専門店のニコラNicolasとか、大聖堂の近くのワインショップとかで売られていました(こちらが二コラより安かった)。お値段も20ユーロ台で非常にお買い得でした。また、JuraのChâteau-Chalonなども日本では入手困難で、価格も1万円は超えますね。
  4. さらに言えば、フランスのワインガイドブックLe Guide Hachette des Vinsで赤ハートがついているようなお値打ちワインは地方も含めあちこち探しましたが、見つけられませんでした。このようなワインに出会えたら、即購入ですよ!! 
  5. 現地の大手スーパーや二コラのようなワイン専門店で€30も出せばかなりのレベルのワインが買えます。€10程度でも日本では3,000円くらいで売られているのも多くあります。パリ駐在の頃、割と裕福な人たちが暮らす16区の地元スーパーでどんなワインが金曜日に売れるのかを調べたことがあります。一番の売れ筋価格は€10前後でした。ワインにうるさいパリジャンでも€10のワインなら普段飲みレベルではOKなのでしょうね。
  6. シャンパンは微妙です。私がネットで買っている価格の方が、現地のスーパーのお値段より安いのです。ただ、フランスでは日本で売られていないRM(Récoltant-Manipulant=自家葡萄栽培の製造販売で大抵は小規模生産者)のシャンパンは数多あるので、珍しいものを買ってくるのも楽しいですね。大手シャンパンメーカーは小規模生産のRMのシャンパンは競争相手としてみていないそうです。理由はNVでも安定した品質を維持するのが難しく、いい時と悪い時の品質の差がかなりあるとか。大手は品質維持にノウハウや経営資源もも十分あるとのこと。ということは、RMであれば、いい年の葡萄を使ったMillésiméのシャンパンを狙うのもいいかもしれませんね。大手のMillésiméと比べて比較的お値段もお手頃ですので。また、シャンパンボトルは重いので、これだけが難点です。むしろ、マグナム(2本分)とかジュロボアムJéroboam(4本分)などの方がワイン会などでは存在感抜群だし、楽しめますね(保存・熟成からみると、瓶内の空気分量が相対的に少ない大型ボトルが長持ちするといわれています)。
  7. 留意点は、買えるワインは大抵vintageが若いことです。上記写真のタルボも2015年ですね。「ワインは飲んだ時が飲み頃」という話がありますが、それでも、やはりいいワインは寝かしておきたいですよね。2018年に購入であれば、売られているのは2015年や2016年物です。ボルドーブルゴーニュ、シャブリ等の上物なら、10年は寝かしたいですよね。10年経つと2025年、2026年。ここまで待てるかな?

 

どこでワインを買ったらいいの?

  1. 空港の免税店は最悪ですね。別に免税店の営業妨害をしているわけではないのですが、日本のワイン専門店の価格よりも高いくらいです。ここでワインを買っている方は「免税店だから安い」という神話・誤解のど真ん中で生きているのでしょうね。ただ日本ではなく、他のアジアの国で自国のワイン関税が高く、ワインがそもそも高いところの方からみると、免税店はまだ割安感はあります。ヨーロッパの空港で良心的なワインの価格設定をしていたのはドイツ(例:フランクフルト)やベルギー(ブリュッセル)など少数の国の免税店でした。今はどうでしょうか。
  2. ワイナリー訪問時にそこのワインショップで買うこともいいですね。レアワインに出会えます。私はワイナリーに行ったときは少なくても1本は買うことにしています。しかし最近は見学だけして写真をバチバチ撮って、何も買わない人が多いとか。まあ、これは価値観の問題ですね。ボーヌ郊外にある有名な某ワイナリーに見学に行って、ショップで€70のCorton Grand Cruを買ったら、2人の見学料を半額にしてくれました(€20分無料となり、結構嬉しかった!)。事前にワインの価格は調べていきましたが、ここのワインショップでは日本で売られているより3割から5割安で、中にはレアもんもありました。
  3. ワイン専門店のNicholas二コラはフランス国内外にあり、地元のスーパーよりお値段は少し高いものの面白いワインが手に入ります。お店の方は流石にワインの専門知識をお持ちです。3本入り木箱は簡単に手に入ると思います。
  4. 手軽でお勧めは地元(大手)スーパーのワイン売り場。ワインは高いものでも€100くらいまでですが、種類は多く、全般的には価格も安めです。

 

パリではM1メトロの終点のLa DefenseにあるオーシャンAuchanという大型スーパーでよくワインを買っています

(正直、ここはあまり知られたくないという気持ちは少しありますが、ワイン好きの皆様にとって、「いいワインをできるだけ安く買いたい」というのは共通の願いと考えますので、お知らせしますね。)

 

下記の写真はAuchanの地下のワイン売り場です。陳列棚がいくつもあり、かなり大きいです。高価なワインは一番上の写真にあるTalbotのようにボトル上部に盗難防止のキャップがついていて、レジで外してもらいます。たくさん買うと外してもらうのに時間がかかり、後ろの列の人たちの視線を感じますが、ワインの為、我慢、我慢です。(フランス人はこの辺はとてもオトナで、罵声を浴びせかけられることはありません)「これ全部ひとりで飲むのか?」と聞かれたことはありますが。

高級シャンパン等はカギがかかった棚に陳列されています。

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  1. このスーパーで免税対応できないかどうか2回試しましたが(初回は受付で日本のパスポートを提示したのに「Chinois」と記載され(OMG!)、訂正を要求しても無視され、こりゃダメだと思いました。それで2回目をトライした訳です...)、2回目にきっちり説明を受けると、ここでは食品やワインはやはり免税不可なのだそうです。それでも、「まあ、安いし、免税でなくてもいいや」、という感じになりました。
  2. このスーパーでは全国的に年に2回(4月のイースター後と9月末)にワインフェアー (Foire aux Vins) があり、大量のワインが展示され、ワインも通常価格より更に安くなります。ムートンやラフィットのような高級ワインも出ます。6本入りカートン(紙箱 or 木箱)で買うのも簡単です。この時は最高にお勧め!このためだけに航空運賃を払って日本から買い付けに行ってもいいくらい(と思っています)。開催時期は毎年少しずつ違います。AuchanのHP(仏語です)で時期やワイン価格を確認できます。そしてこのワインフェアーの時は、不思議なことに、ブルゴーニュの上物の高価な白から先に売り切れになるのです。やはりお好きな方は多いのでしょうね。
  3. ワインフェアーの時は大きな特設ワイン売り場が1階入り口のすぐ近くにできます。通常のワイン売り場は地下1階で、入り口から真っすぐ歩いて生鮮食料品売り場のところにあるエスカレーターで降りた目の前です。かなり大きい売り場です(上の写真)。この地下1階にもレジがあります。
  4. 沢山ワインを買う予定なら、空のスーツケースを持参するのが持ち運びに便利です。スーパーに入る前に警備員がプラスチックのストラップでスーツケースのカギを固定します(必須)。レジで支払いを済ませた後、ストラップを切ってもらうのですが、なかなか警備員が来てくれないことがあるので、ご自分でハサミを持参されたらいいですね(レジを出ればストラップは自分で切っても構いません)。ワインはフロアーでスーツケースに詰め替えることになります(ジロジロ見られてチョット恥ずかしいけど、ワインの為だ、気にしない、気にしない)。
  5. そして買い物カゴは大きなワゴンになっているものを使うのがいいですね。入口の右側奥に置いてありますが、ワゴンを取り外すには1ユーロコインを差し込む必要があります。ワゴンを元の場所に戻し鎖をつけると、差し込んでいた1ユーロコインが戻る仕組みになっています。
  6. AuchanがあるLa Defenseはエスカレーターが完備しており、始発の地下鉄M1のLa Defense駅まで楽に行けます。しかし、パリの地下鉄は古いので、エスカレーターやエレベーターがない駅が多いですから、階段の上り下りは結構大変ですよ。エスカレーターも時々ガクン・ガクンとなるので、後ろに倒れないようにベルトをつかみましょう(倒れそうになった経験から)。
  7. (春のフェアーの後ですが)今年の5月・6月にこのAuchanに行ったときは、①ボルドーワインがかなり高くなっていました(昨今流行っているボルドーワイナリーの設備更新に伴う投資の回収と、中国人が特に赤ワインを沢山買ってくれるからとの日本の某有名ソムリエの話)、②ブルゴーニュのグラン・クリュが少なくなっていました(ほぼゼロ)、③シャブリのグラン・クリュなし(こんなの初めてですが、専門家に聞くと、シャブリはもともと輸出比率が高く、国外に出ているのでは、とのことでした。)、④アルザスのグラン・クリュもほぼ払底、と大きく品ぞろえも変わっていました。半面、ブルゴーニュのボーヌではワインショップが街のあちこちにできて高級ブルゴーニュを売っていました。ワインの流通もドンドン変わってきているのでしょうね。
  8. ワインの真実」(原題le Goût et le Pouvoir)という本で筆者のジョナサン・ノシターが「(オーシャンが)ワインのことをちゃんと知っている店員を雇わないのは、明らかに計算された戦略である」(211ページ)と批判しています。しかし、少なくとも私がLa DefenseのAuchanのワイン売り場で会った店員はワインをとてもよく知っていましたし、更に英語でのコミュニケーションもできました。ワイン売り場で特にワインの説明を受けなくても好きなワインを安く買うわけだから、私は全く構いません。出版された2014年頃の話かもしれませんが、私はこの批判は当たらないと思っています(「オーシャン擁護派」で~す!)。
  9. パリの他の中小スーパーではかなりワインの値段が上がっています。日本でネットで買うのと変わらないか、むしろ高いことがあるので、価格をよく見て買いましょう。高くても(観光客に)売れるから強気なのでしょうね。最初からスーパーのワインは安いと思うのは要注意です。
  10. 地方に行けば、希少ワインが今でもとてもリーズナブルに売られているので、お勧め。フランスに行くのであれば、是非、地方にも行ってみましょう!! (「フランス国鉄 SNCF 楽しもう!」をご参照ください。)

 (長くなりましたが、ここまでお付き合いいただきまして、ありがとうございました! 現地でいいワインを見つけてください!)

海外からワインを持ち込む? (1)

フランスなどを旅行し、現地でワインを沢山買って帰りたいと思う人は多いでしょう。私の経験からワインの持ち込み方(勿論、100%合法的ですよ)をご紹介します。

 

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免税本数の3本は超えても構わない

  1. 「ワインやウィスキーなどの酒類の免税本数は成人1人につき3本まで」というのはよく知られています。そして日本への持ち込みは3本を超えてはいけないと思っている方が意外と多いのです。
  2. 免税本数を超えても空港の税関で所定の税金を支払えば全く問題ありません。空港で荷物を受け取り、税関では「課税」のところに行きます。税関申告書に記載しワインの本数を申告すれば、税関の職員の方が課税金額をすぐ算出してくれます。税金は税関の後ろにある銀行の窓口で支払います。
  3. 夫婦で43本持ち込んだ場合、二人で6本は免税となり、免税とならない残り37本分に課税されます。税金は5,400円(750 mlボトル1本換算で146円)と非常に安いものでした。750 ml以外にも容器が620 mlのジュラのワインがあったので、1,000 mlに換算して税金を計算してくれたようです。
  4. 空港の税関では正直に申告しましょう。夫婦で何度もフランス旅行し、50本くらいは持ち帰っています。税関の係員からは「(ワインは)個人用ですか?」程度は聞かれますが、ワイン50本程度の持ち込みは全く問題ないようです
  5. 10年ほど前ですが、フランス駐在から戻る際にワインを随分と持ち帰りました。その時にお世話になったパリの引っ越し屋さん(パリの日〇通〇)によると、許される持ち込み数量は国内の通関の場所により(税関により)異なり、100本~200本くらいの幅があるそうです。外国人が多く住む(住んでいた)ところの税関はワイン持ち込みの許容数量も多めになるとか。
  6. ワインとチーズは切っても切れない仲。チーズはなんと10 kgまで日本に個人輸入として持ち込めるのです。詳しくは下記のHPをご参照下さい。 

    http://www.maff.go.jp/aqs/topix/dairy_products.html

     

どのようにしてワインを持ち込むか?

  1. フランスであれば(ほかのヨーロッパ諸国も同様なサービスがあるようです)日本にそのまま(それこそdoor-to-doorで)送ってくれる宅配サービスがあります(Wine Directなど)。基本的には6本単位になるようです。現地のスーパーではこのサービスは無理ですが、大きなワインシップや大手ワイナリー(例えばボーヌのLouis Jadotでは日本への送付はOKとなっていました)では日本へのワイン送付をしてくれます。
  2. ヤマト運輸でのサービスHPを見たら、ブルゴーニュシャンパーニュ地方から12本で€170、パリからは€130との価格表示がありました。http://yamatoeurope.com/japanese/winedirect.htm 私はこのサービスは使ったことはないのですが、アルザスからワインを日本に送った友人の話では、やはり荷物にならないので、大変に楽だったとのことです。
  3. そしてワインショップ大手では、嬉しいことにワインも免税扱いにしてくれます。ボルドーの有名ワインショップのランタンダンL’Intendant (住所:2 Allées Toumy, 33000, Bordeaux)では免税扱いOKでした。パリのワインショップのLavina(住所:3-5 Bourvard de la Madelene)では€180以上の購入で12%の免税とか。高級ワインを纏めて€1,000買ったら、€120が免税になり、この金額でほぼWine Direct代金分が浮きますね。大手ワインショップではワインを購入する前に免税対応ができるかを確認した方がいいですね。

 

手荷物にして自分で持ち込む場合

  1. Wine Directは便利ですが、やはり送料が€130といえどもワイン代に充てたいという方、自分の荷物に十分ワインは入るという方、直ぐにワインを楽しみたいという方などには、ヒコーキの預け荷物としての持ち込みがあります。なお、当たり前ですが、ワインの機内持ち込みはダメです(何人もの友人がウッカリと手荷物にワインを入れてしまい、セキュリティで没収されています。それも高いワインを。実にもったいないですな...)免税店で買ったワインは包装されている密閉バッグを開けない限り、乗り継ぎでもOKです。
  2. 私の対応方法ですが、

    1) エアラインの選択は重要です。LCCは荷物の数や重量の制限が厳しいので、運賃は安くてもワインを運ぶには不向きですね。私の場合は今でも夫婦でANAのSuper Flyerになっているので、エコノミークラスでも23 kgの荷物が一人3個OKで、二人で6になります。これは十分です!エアラインも十分前もって変更不可として予約すると、かなり安いです。私の場合も、2018年5月上旬(GW後)のパリ便を5か月前に予約したら、往復二人で235,740円でした!

    2) スーツケース(バッグ等含め)が6個あると、かなりのワイン送付のキャパができます。スーツケースに750 mlボトルが10本から12本は入ります。これ以上詰め込むと23 kgをオーバーする可能性が高いです。またシャンパンボトルや、ブルゴーニュの肉厚のボトルは重量が嵩むので注意が必要です。ブルゴーニュの普通のボトルで1本1.3~1.4 kg、シャンパンボトルで1.55 kgと言われていますので、ご参考になさって下さい。

    3) 日本を出発する時から二人で6個も荷物を持って移動するのは大変なので、大きな荷物の中にバッグを入れるなどして、なるべく荷物の数を少なくします。私の場合は二人で3個になりました。

    4) 日本を出るときの用意として、「100均」でプチプチをできるだけ大量に購入。これはかさばるけど軽いので楽です。新品でなくてもワインを買ったときに包装されているプチプチでも十分です。他にガムテープ、ナイロン紐、カッター・ナイフ、ハサミは必需。プラスチック製の「ハンドル」やバッグにつける名札もあると便利。すべて100均で用意できます。また、荷物の重量を測る小さな重量計があると非常に便利です(下記の写真)。

    5) ワインボトルをプチプチでしっかり巻き、ガムテープで留めます。外側が固いスーツケースの場合は、ワインが動かないように衣服などを絡ませて配置を決めます。繰り返しますが、スーツケースに10本から12本が適正本数です。ワイン3~4本を纏めてグルグル巻きもいいです。ポイントはボトルが動いたりして、バッグの中でボトル同士がぶつかったりしないようにすることです。

    6) 布製やナイロン製のソフトバッグでワインを運ぶ場合は破損防止用に少しテクニックが必要です。おすすめは段ボールか厚手の固い紙で最初にバッグの上下・側面を囲い、ガードをつくることです。固いガードがあると多少手荒に扱われてもワインの破損は免れます。

    7) もし木箱のケース(ワイン6本入り)で購入するのなら、かなり簡単になります。

    ① 6本入りの木箱のケースは6本が水平に並んでいる場合と、3本づつ互い違いに2段になっている場合があります。木箱の中の仕切り板はワインの値段によって違います。一番安い包装は仕切りが段ボールでできたもの。これは安っぽいですが、意外にしっかりとワインにフィットします。高級ワインでは1本づつボトルのネック部分が上下から薄い木の仕切り板でワインが固定されます。

    ② 水平6本の木箱でも3本づつ2段になった木箱でも、どちらも送付用にはOKですが、2箱をガムテープか紐でしっかりと縛り、持ち運び用にプラスチックのハンドルをつけましょう。名札もつけておけば安心です。

    ③ 放り投げられない限り、木箱は丈夫で安全です。ワインの木箱の開け方は簡単で、マイナスのドライバーを板の隙間に入れてゆっくり持ち上げるとすぐ開きます。

    ④ ワイナリーでも有料で木の箱を用意してくれるところがあります。1本用、2本用、3本用もありますが、荷物として纏めるのには適していません。贈答用にはいいでしょうが。やはり6本入りをお勧めします。

    ⑤ 日本に到着し、木箱を開けてみると、箱の中の薄い木の板の部分はボトルが動いたせいか少し削れていることがありますが、ボトルそのものには全く影響はありませんでした。

    ⑥ プチプチを箱の4隅のエッジに当てておくと、箱の状態もよく送れます。木箱のワイン名がある部分は後日デコレーションにも使えるし、木箱をコルク置きに使うとか、ワインの木箱もいろいろと楽しめますね。

    8) 発砲スチロールでできたワインケースがあれば(下の写真)、軽くてきっちりワインにフィットするので超便利です。12本ケースなどはそのまま荷物にできます。とても便利ですが、無料ではないので、このワインケースがどのくらいのお値段になるかですね。以前はワインショップで簡単に手に入ったらしいですが、最近はあまり置いていないようです。

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二人(以上)の旅がお勧め

一人旅も楽しいですが、ワイン購入旅行には二人(以上)の旅がお勧めです。

その理由は、

  1. 2人で行く場合、荷物は2人 x 2個、あるいは2人 x 3個(以上)になります。2人の旅行用品をスーツケース1個にまとめられれば、残りはワイン持ち込みに使えます。荷物3個あれば1個にワイン12本入れたとして、36本は確保できますね!
  2. 駅のトイレとかスナックを買いに行くとかの用事にもう一人に荷物の番を頼めます。いちいち荷物を転がしながら動くのは大変です。決して荷物を放置してはいけません
  3. 仮に一人が盗難にあってカード・現金がなくなっても、残りの方ので緊急対応ができます。
  4. ワイン代確保のために(?)「アパルトマン Appartement」に宿泊するケースもあるかと思いますが、一人で食事の用意をするのは気後れしますし、一人での食事は料理の数も限られるし、ワインもせいぜい1本だし...ということで、ご夫婦、パートナー、親しい友人と行くのが楽しいですね。
  5. ただ、3人以上になると、何処へ行くかとか、誰が何を担当するのかとか、意思決定でもめる可能性が高くなりますので、仲良くご旅行くださいね。

 

破損事故?

これまで(多分)10回以上に渡って数本から50本以上ワインを持ち込みましたが、ボトルの破損事故はたった1回だけです。

  1. それも日本に到着し、成田の税関をでて乗り継ぎの国内線でのチェックインの時です。若い女性の係員が対応してくれたのですが、「重いから注意してね」と言ったのに、バッグが小さいので安心したのか軽く持ち上げようとしてバランスを崩して20~30cmの高さからバッグを落としていました。この時に破損したと思います(成田に着くまではバッグに何の異常もなかった!!)。
  2. 伊丹に到着し、荷物受け取りで見たらバッグが濡れていて、自宅で開けたら、ワインが1本破損していました。シャブリのグラン・クリュだったのに!(怒!!) 
  3. ボトルのプチプチの上から包んだパジャマにもワインが滲みて、それが結構いい香りになっていて(!?)、一層無念感が増したものでした。
  4. Fragileこわれ物」としてエアラインが預かっている場合は、乗客に包装責任があり、エアラインは弁償する義務はないようです。
  5. この時はステータスが最上級の「ダイアモンドクラス」でもあったし、一応エアラインにはクレームは出しておきました。直ぐ丁寧な返事はありましたが、要するに「申し訳ございませんでした」だけでした(クレームしたのは別に補償を求めたわけでなく、日本のエアラインとは思えないほど対応が雑だったから)。このことがあったので、ソフトバッグは段ボールで囲んで外部に対し補強することにしています。また小さなバッグだと軽いと安心してしまう可能性があるので、それなりの大きさのバッグにいれるようにしています。そして日本で預ける時にはシツコク、シツコク「丁寧にお願いしますね!」と、グランドスタッフには口を酸っぱくして頼んでいます。それ以来、破損事故はゼロです。

(「海外からワインを持ち込む? (2)」に続きます)

ワイン会を楽しもう!

 

ワイン会開催のポイント

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ワイン好きの仲間でワインを持ち寄りワイン会を開くのは楽しいですよね。

少し長いですが、いくつかヒントになることを記載します。ご参考になれば嬉しいです!

 

ワイン会の場所?

< レストランで開催する場合 >

  1. 会場となるレストランに対し、ワイン会を行うことの了解をとり、費用、参加人数等の事前連絡は当然ながら必須です。ワイン会は歓迎でも、持ち込みはダメというところもあり(簡単に言えばフツーに、「お店の(高い)ワインを飲んでください」ということかな)、事前に確認しておくことは最低限必要です。
  2. ワイン会の開催時間をきっちりと決め、そして終了時間をきっちり守ることが大事です。ついつい楽しくて時間が長引くと、レストランとしては後始末の時間もあるので困ってしまいます。幹事役は終了時間厳守ということで、気を配りましょう。(特にWINE RECORDER等を使ってボトルのエチケットを剥がし、参加者各人のコメント入れるのはとても時間がかかってしまうのでご注意!)
  3. 持ち込みがOKの場合、ワインの持ち込み料(corkage)は事前にレストランと決めておく必要があります(同じ「KIOTOPARISの日記」のブログの中での「レストランにワインを持ち込む『3原則』」をご参照ください。) 持ち込み料が結構高い場合はワイン会には不向きですね。そして、レストラン側も婉曲的にワインの持ち込みを嫌がっているとも判断できます。
  4. ワインに合わせてグラスをご用意していただいた場合、10名で10本であれは 10 x 10 = 100客になります。これはレストランとしても用意するのが結構大変です。ワイン会でのグラスの破損は、実際はかなり少ないのですが、もし破損した場合は1客いくら支払うと決めておいたほうがいいですね。レストラン側は「いいですよ」と言ってくれるかもしれませんが、持ち込み料を貰っていてもグラスはレストランとして損失になりますので、お支払いしましょう。
  5. 持ち込むワインと料理の相性やバランスがとれることが大事です。レストランによっては持ち込むワインに合わせてメニュを作ってくれるところもありますが、これは現実としてはかなりの少数派です。こういうレストランを見つけられたら宝物ですよ! 
  6. レストランのメニュが決まっている場合は、それに合わせてワインを選択することになります。アラカルトを選択する場合は、事前に料理内容を確認し、ワインとの相性も調べておきましょう。
  7. レストランにソムリエさんがいると、ワインのお話も聞けて会が大いに盛り上がります。また、ワインの供出温度やグラスの大きさ、ワインの順番・タイミングなど、いろいろ相談できます。そういう訳で、できればお店にソムリエさんかワインに詳しい方がいるところがいいですね。そして、持ち込んだワインを(業務に差し支えない程度で)ソムリエさんにも味わっていただくのも大事です。普通、ちゃんとワインのコメントをしてくれ、ワイン会も盛り上がります。

 

< 自宅で開催する場合 >

  1. レストランでの場合と基本はほぼ同じですが、ホスト側がすべての料理を作ると大変になるので、一部の料理はホスト側でご用意いただいたとしても、料理は各自持ち寄りがホスト側の負担が少なく、ベターと思います。会費が設定され、料理をご用意していただく場合でも、チーズとか、イチゴ、イチジクなどワインに合うような簡単なものを持参すれば喜ばれますよね。
  2. 会費は事前に決めて事前に参加者に連絡しておきましょう。ホストの方がワインをご用意する場合もあるかと思いますが、無理がでないようにワイン代(おつまみ代含む)は参加者で均等割りの方が長続きします。ワイン会のメンバーにもよりますが、おつまみ(簡単な料理)を入れて、1人6,000円くらいの予算であれば、気軽に参加できますね。
  3. 残されたワイングラスの洗浄は大変です。自宅でのワイン会後(翌朝)にグラスを60客ほど洗ったことがあります。私の場合は、以前は飲んだ直後にグラスを洗っていたため、うっかりと貴重なバカラシャンパングラスを割ってしまい、かなり気分が落ち込みました。(後日、同じものをバカラのお店で探したら2万円以上もして更に落ち込みました...)今は「飲んだら洗わない」方針を徹底し、翌朝アルコールが抜けた後で洗うことにしています。これで私の破損事故はゼロになりました。勿論、各人のグラスを1客にすれば、グラス洗浄の負担は非常に軽減されますね。

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ワイン会の人数?

  1. 多くの方が参加するワイン会も楽しいですが、通常のボトルは750 mlです。普通はこれで6杯分(1杯125 ml)とります。6名であれば、グラス1杯の分量です。テイスティングでは30 mlくらい使いますが、125 mlなら少なめに入れても、6名ならグラス2杯程度で終わってしまいます。
  2. 参加者が6名までであればワイン1本から125 ml以上づつ提供できますが、10名となると各人の分が75 mlしかありません。10名を超える場合は行きわたるワインの量が少なくなるので、同じワインを2本(或いはマグナム)にする(検討する)必要が出てきます。
  3. 同じワインを2本というのは割と用意するのが難しいので(最初から2本購入すれば簡単ですが)、2本用意できない場合は、グループを分けることもありうるかもしれません。ただ、同じワインを味わってコメントを共有するというのが楽しいので、できれば同じワインを2本を確保したいですよね。そんなわけで、ワイン会に出すつもりでワインを買われる場合は同じワインを2本以上購入することをお勧めします。

 

主催者側(幹事)の準備?

  1. 参加者への事前連絡(日時、場所、会費等を明記)と参加者の確認(キャンセルの方が出た場合は、即レストランに連絡です。レストランでの対応が間に合わない場合や事前にキャンセルの期限が決められている場合は、キャンセル料を支払いましょう。)
  2. (ブラインド・テイスティングでなければ)事前にワインリストを作成しましょう。

    ①ワイン名(原語及び日本語)、

    ②vintage、

    ③生産地・生産国、

    ④葡萄品種、特徴・テクニカルシート(これがあるとかなり盛り上がります。地域・ワイナリーの歴史や文化的背景までいれるかはoptionalですね。話題としては面白いですよ。) ⑤テイスティングヒント(これはoptionalです。前もってテイスティングの情報を出すことは先入観を作ってしまうことにもなるので、賛否があるでしょう。私はあくまで参考ということで入れています。)

  3. 事前にレストランにワインリストを送付しておくと、ソムリエさんがとても参考にしてくれます。

  4. できればレストラン側にも当日のメニュを印刷して用意してもらったほうが楽しめますね。

  5. ワインの確保(各自持参するのか、すべて主催者が用意するのか。当日持ち込む場合、夏場はワインの温度が上がらないように保冷材等で冷やす必要がありますね。温度管理が心配な場合は事前にレストランに送るようにしましょう。)

  6. (必要であれば)テーブルでの席順を決めておくのがいいでしょう。好きなところに座る自由席も楽しいですが、人数が多いと入り口で席をめぐって混雑し、レストランやほかのお客にも迷惑をかけてしまいます。席順では男女が固まらないようにするとか、初対面同士にならないようにとか、初心者の中にワインに詳しい方入れるとかの事前の配慮が必要ですね。席順はワイン会の盛り上がりにも大きく影響します。

 

ワインの種類?

  1. フレンチレストランのコースメニュであれば、持ち込みワインで赤ワインが集中すると、料理とのバランスが取れなくなります。通常は赤ワインは最後のメインであるお肉等に合わせることが多いので、この時に赤ワインが何種類も集中すると、とても飲みきれません。また目の前にグラスが乱立(?)し、あまり見栄えのいいものではありませんよね。
  2. 一般的にワイン初心者や普段ワインをあまり飲まない方は、好みが赤ワインに偏る傾向があります(私も昔は赤ばかり飲んでました)。
  3. 持ち込むワインが6名・6本なら、シャンパン(泡)1本、白ワイン4本、赤ワイン1本くらいのバランスですね。白ワインにはロゼも含めてもいいし、軽めの赤なら赤が2本になっても、料理とのバランスは取りやすいです。
  4. 赤ワインに集中しそうな場合は、ワインの種類と本数を最初に決めておいて、手を挙げた先着順というやり方もあります。
  5. 赤ワインに集中してしまったら、割り切って「赤ワインのワイン会」にしてしまう方法もあります。いろいろな赤ワインを飲みながら、どの赤がどの料理と一番相性がいいか?など話し合うのも楽しいでしょう。

 

(持ち込む)ワインの価格?

  1. ワイン会で一番悩ましいのが、各自持参するワインの価格ですね。レストランに持ち込んでいいワインはこのブログ(KIOTOPARIS)の「レストランにワインを持ち込む『3原則』」を参照ください。やはり安物ワインではレストランのメニュとバランスがとれません。
  2. しかし、ワインの価格に関しては、ワイン会メンバーの間で考え方・価値観が違います。ワイン好きでもワインに3,000円も出すのは(超?)贅沢と思う人もいます。事前にワインの価格に関して原則は合わせておいたほうが(コンセンサスを取っておくほうが)参加者間の不公平感がなくなります。(「私は折角5,000円のワインを持ってきたのにxxさんは1,500円の安ワイン」など)
  3. 推奨する価格レンジは、通常のワイン会であれば市価3,000円前後のワインか希少ワイン(レアもん)であればさほど負担にはなりません。3,000円レベルのワインでも、探せばかなりのものはありますから。(それほど高くなくて、普段飲むことがないようないいワインを見つけられるのも、ワイン会の醍醐味ですね!)
  4. 高級レストランでのワイン会なら市価5,000円くらい(or 以上)まで上げてもいいでしょう。1万円以上のワインを持参するというのはワインが好きで、かなり懐が温かい方々の会になりますね。レストランへの支払いとワイン代で合計2万円にもなると、フツーの方にはやはり負担感が大きくなりますから。
  5. 私の場合はワインに合わせてフレンチのコースメニュを作ってくれるレストランと開店当初からお付き合いがあり、そこは持ち込み料入れて一人6,500円ですので、ワイン代を含めても1万円程度。これなら月に複数回ワイン会ができますね。
  6. 主催者 or ワイン調達者が全部ワインを用意し、参加者で均等負担という方法もあります。各人のワイン負担は4,000円くらいまでとしても、これは結構楽しめます。通常飲む機会のないワインなどは大歓迎されます。ワインをすべて用意する場合には、目玉となる高級ワインを1~2本入れて、他は多少安めのワインで全体的にアクセントをつける(ワイン全体のストーリーも作る)というようなことも可能になります。

 

<ワインリストの例>

 

1. 実際のワイン会でのワインリストです。参加者が13名でしたので、同じワインを2本お願いしました。最初の写真が持ち込んだワインです。シャンパンのモエテ・シャンドンのロゼが写真では1本になっていますが、2本持ち込みました。

2. このワイン会では、持ち込みワインの価格帯ポリシーは「市価5,000円程度(以上)かレアワイン」にしています。

3. 某大手ホテルのレストランが会場で、持ち込み料を含んだセットメニュになっています。毎年開催していて、ワイン会メンバーにホテルとのお付き合いがある方がいて、かなり優遇していただいています。

4.日本でも名が知られている某ソムリエさんがワインをサービスしてくれます。またワインのコメントもいただけるので、こちらも楽しみなのです! きめ細かなサービスとワインのユニークなコメントは「流石にプロは違う!」と、いつも感心しています。

 

< 当日のワインリスト >

2018年1月XX日 第XX回XXワイン会・新年会

@レストランXXXX、XXXホテル

 

参加者:Kさん夫妻、Yさん夫妻、NDさん、Oさん、Tさん、OKさん、ONさん、Nさん、Iさん、Hさん、Y(男性7名、女性6名、計13名、順不同)

 

1. Franciacorta Monte Rossa Prima Cuvée Brut フランチャコルタ、モンテ・ロサ、プリマ・キュヴェ、ブリュット NV 白・泡(Lombardia, Italy)葡萄品種 85% Chardonnay, 10% Pinot Nero, 5% Pinot Bianco特徴・テクニカルシート「フランチャコルタの辺りの湖は細長い。氷河湖。氷堆積土壌。温暖な気候。カモニカ渓谷(3,000 m近い山)。引き締まったワインになる。飲みなれていない人でもOK。Pineapple, tropical fruitsの香り。Cf. Trentoは別。ミネラルが違う。こちらはChampagneに近い。FranciacortaはLombardiaで平野。FerrariはTrentinoで山岳地帯でのワイン。Franciacortaはfull bodyのタイプでドッシリして肩が広い。(宮嶋勲さんのコメント)」 ここは植密度5,000本/ha(近年の主流)。(平均樹齢9年とみられる記載あるも未確認) 垣根つくり(“Cordon Royat”にて地面から70 cmの高さになる)。手摘み。Soft pressingにて、このワインに使用するのはout put全体量の55%以下。20%はvintage wineを使う。温度管理のステンレスタンクにて発酵後、樽熟成。瓶熟成期間は24ヵ月(法定熟成期間は25ヵ月以上となっている)。製造数750 ml換算で20万本。 http://www.monterossa.com/pdf/eng/scheda_prima_cuvee_en.pdf  Tasting hints: アルコール度数12%。”Distinguished by its simplicity translated into delicacy, immediacy, pure pleasure, fundamental elements for a Franciacorta of quality.”(Kさん夫妻持ち込み)2本

 

2. Champagne Moët et Chandon Rosé Impérial Brut NV シャンパーニュ、モエテ・シャンドン、ロゼ・アンペリアル・ブリュット、NV (Épernay, Champagne, France)、①葡萄品種:Pinot Noir 50~60%, Pinot Meunier 20~30%, Chardonnay 10~20%、②特徴・テクニカルシート:モエ・エ・シャンドンという呼び方は日本だけ(これはチョット発音しにくいでしょ?)。正確には(リエゾンして)モエテ・シャンドンと発音。この会社はLVMHグループの中核であり、傘下にはドン・ペリニョンブランドを持つ。(因みにドン・ペリニョンの日本法人の社長だったのが、現在フランスにあるXXの子会社、YYの社長のZZさん。社長時代にドンペリ・ロゼ(ピンドン)の価格を意図的に高く設定し販売。本人曰く、「日本の飲料業界からは(高く売れるため)大いに感謝された」とのこと。)このロゼはアルコール度数12%。Reserve wineは20~30%。Dosage 9 g/L、3年熟成。https://jp.moet.com/Our-Champagnes/Rose-Imperial ③Tasting hints:野イチゴ、ラスベリー、チェリー香。バラの花の香りと少し胡椒の香のニュアンス。(Hさん、Yさん)2

 

3. ARUGA Branca Pipa アルガ・ブランカ・ピッパ2014 白山梨県勝沼酒造)、①葡萄品種:甲州100%、②特徴・テクニカルシート:「アルガブランカの樽醸造「ピッパ」は、従来の甲州ワインの姿とは違い、瓶熟成を重んじた円熟味のあるワイン。“日本固有の品種「[甲州] から世界に通ずるワインを造りたい”というワイナリーの夢から生まれた。甲州葡萄の特性を引き出すために醸造過程で糖や酸を補わず、葡萄本来の自然な成分を凝縮し、フレンチオーク樽の中で澱と接触させるシュール・リー状態によって6ヶ月間醗酵熟成、さらに瓶熟成を2年以上重ねている。」 http://www.katsunuma-winery.com/modules/shouhin/index.php?content_id=2 ③Tasting hints:アルコール度数13% 果実味と樽香のバランスがよく複雑で優雅。(NDさん、OKさん)2

 

4. Château Poujeaux シャトー・ブジョ―2011 赤(Moulis-en-Medoc、Bordeaux, France)、①葡萄品種:Merlot 48%, Cabernet Sauvignon 44%, Petite Verdot 5%, Cabernet Franc 3%、②特徴・テクニカルシート:「1921年から今日までずっとテイユ家が所有。ブドウ栽培は非常に入念で、土壌の鋤き入れが行われ、必要な時はグリーン・ハーベスト(収量を減少させる目的のために、果房を未熟な状態で収穫すること)も行う。ワイン造りもまた緻密。若い時、質感はしっかりしており、熟成に耐える能力を示しているが、プジョーはずっと昔から最上のクリュ・ブルジョワと見なされてきた。2008年に他の8つの畑とクリュ・ブルジョワ・エクセプショナルに昇格した(このカテゴリーは現在消滅)。」(「死ぬ前に飲むべき1001ワイン」より) 葡萄樹齢平均35年、手摘み収穫。生産量281,140本。温度管理による発酵。フランス産オーク樽にて12ヵ月熟成(新樽比率30~40%)。(Yがパリのオーシャンのワインフェアー時に木箱入り6本を直接購入し持ち込んだ中の2本で、購入後個人セラーにて保管。)https://www.cdiscount.com/vin-champagne/grands-crus-vins-rares/chateau-poujeaux-moulis-2011/f-129620102-poujeaux11.html  ③Tasting hints: アルコール度数13%。CSはstructureと緻密さ、MerlotとPetite Verdot  は丸みと複雑さをもたらしている。どっしりとしたワインでタンニンがしっかりとしている。(Oさん、Nさん)2

 

5. Château Cantemerle シャトー・カントメルル2012 赤(Macau, Haut-Médoc, Bordeaux, France)、①葡萄品種:Cabernet Sauvignon 52%, Merlot 40%, Petit Verdot 5%, Cabernet Franc 3%、②特徴・テクニカルシート:メドック格付け5級。カントメルルの記載は12世紀にまで遡る歴史のあるワイン。年38~40万本生産。http://www.cantemerle.com/chateau 「フレンチオーク(新樽50%)で12カ月熟成してワインを仕上げており、オーク樽由来のバニラのテイストが印象的。ほとんどのヴィンテージで、早飲みと熟成のどちらも可能な点も魅力の一つ。」 ③Tasting hints: フランスのワインガイドブックLe Guide Hacette des Vins 2017によると、飲み頃となるvintageは2004年以前のものと2007年。濃いルビーの色、クワの実、クランベリー、ブラックチエリーなど、ベリー系の香り。力強さと柔らかさ両方を兼ね備えた均整の取れたバランスの良いスタイル。(Yさん、Iさん)2

 

6. Castello di Brolio, Vin Santo del Chianti Classico, Barone Ricasoli カステッロ・ディ・ブローリオ、ヴィン・サント・デル・キャンティ・クラシコバローネ・リカーゾリ2006甘口白(Toscana, Italy)、①葡萄品種:Malvasia di Toscana 90%, Sangiovese 10%、②特徴・テクニカルシート:Barone Ricasoli(キアンティ・クラッシコ地区に聳えるブローリオの城を拠点に1000年に及ぶ歴史を持つリカーゾリ家。現在のキアンティの基礎を築き上げたのは"鉄の男爵"と呼ばれイタリア共和国の首相も務めた現オーナーの祖先)による、1995年指定のDOCワイン。「ヴィン・サントはトスカーナ州が有名。トレッビアーノ、マルヴァジーアを乾燥させ糖度を高めて醸造する。果汁を小ぶりの樽(150~200 L)で発酵させアルコール度数が14~16%になり自然にアルコール発酵が止まると密封し5年以上熟成させる。Vin Snato del Chianti Classicoの産地はシエナ県、フィレンツェ県のみ。(法定熟成期間は3年、Riservaは4年)」(田辺由美のWine Book 2013より、一部追記)) このワインは糖度が十分に高くなった時に遅摘み、軽く圧搾し発酵、225 Lの樽にて4~5年熟成。容量は500 ml。 http://www.baronericasoli.com/labels/wines/castello-di-brolio-vin-santo/2006?_ga=2.50405353.1313904293.1514093980-1324340511.1514093980 ③Tasting hints: 乾燥したフルーツ、オレンジの皮、ドライフラワーのニュアンスの豊かな香り。長い上品な甘さの余韻。(Aさん、Tさん)2

 以上

 

J.S.A. SAKE DIPLOMA 二次試験対策 (2)

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焼酎についての纏め

 

2017年の2次試験のテイスティングでは6品目のうち、2品目が焼酎(芋と泡盛の古酒)でした。2018年は5品目で、焼酎は芋焼酎でした。

 

テイスティングでは外観・香り・味わいの点数が高いのですが(SAKE DIPLOMA 二次試験対策 (1)参照下さい)、単品で出される2種は、ワインエキスパートでは各銘柄2%になっています。SAKE DIPLOMAも同じ配点とすれば、焼酎2品目で4%です。

 

J.S.A.のセミナーでも、焼酎を間違えて不合格になった方が多かったというような趣旨の発言がJ.S.A.の幹部からありました。

 

私も焼酎は得意ではないですが、セミナーでの内容や個人的な経験から下記に特徴を纏めました。

 

一番わかりやすいのが芋焼酎ですね。こちらは焼酎が得意ではない方でも直ぐかぎ分けられると思います。セミナーのブラインド・テイスティングでも多くの方が当てています。

 

すなわち、芋焼酎が試験に出て、それを落としてしまうと、かなり差がついてしまうということになります。反対に米焼酎泡盛は間違える方は比較的多いので、ここでの差は相対的に少ないと言えます。

 

そして、これは勿論確定ではないのですが、そば焼酎は出題されない可能性が高いと思っています。理由はそばアレルギーで、これに過敏な方はほんの微量でもアレルギー反応がでます。J.S.A.のセミナーでは一度もそば焼酎は出ませんでした。テイスティングに出たのは芋、麦、米、泡盛の4品目でした。

(繰り返しますが、そば焼酎が二次試験に出ないだろうというのは、あくまで個人的な推測です)

 

焼酎の特徴

  • 芋焼酎
    1. 特徴 ⇒ さつまいも特有のソフトさと甘味。エステル香、サツマイモを蒸かした時の香り。コガネセンガンがまだ主流。
    2. ポイント ⇒ 焼酎が苦手な人でもこの芋焼酎が一番特徴がつかみやすい(間違う人が少ない)。逆に芋焼酎テイスティングで出題されたのを間違えると、差が付きやすいので注意が必要。
    3. 産地 ⇒ 鹿児島県と宮崎県南部が主産地

 

  • 米焼酎 
    1. 特徴 ⇒ 糠床、イソアミルアルコール、カビ、土の香り。イソブタノール(イソブチルアルコール⇒プロパンのガス臭)、アミノ酸(ロイシン、イソロイシン)、純米酒と比較すると米の香りが残る。吟醸酒様の芳香と淡麗な味わいのソフトなものから米特有の香りと濃醸な丸味のするしっかりとしたものまで。米に由来する芳醇な甘さと香り。日本酒に近いすっきり感
    2. ポイント ⇒ 泡盛と間違えることがある。米の香りが捉えられるか。
    3. 産地 ⇒ 熊本県人吉地方の球磨焼酎

 

  • 泡盛 
    1. 特徴 ⇒ 25度。黒麹使用。炭、土、黒土、苦味と灰のようなスパイス香、珊瑚・貝殻の余韻。海の潮香Sharpな苦味。黒麹を使っているので、dryな印象となる。風味は紹興酒に似ている。泡盛は他の焼酎と比べると「バニラの様な強い甘み」。ひねた沢庵?
    2. ポイント ⇒ 泡盛にあまりなじみのない方は特徴をつかむ特訓必要。米との違いが分かるか?珊瑚・貝殻の余韻がつかめるか?
    3. 産地 ⇒ 沖縄県

 

  • 黒糖焼酎
    1. 特徴 ⇒ 黒糖の甘い香り、軽い口当たり、爽やかな飲み心地。
    2. 産地 ⇒ 鹿児島県奄美大島

 

 

  • そば焼酎

    1. 特徴 ⇒ そば固有の風味。そば焼酎の風味は、そば特有のフレッシュな香りと軽快な丸み。そば殻のような香ばしい香り。 透明感のある酒質、軽快でドライな苦味成分が特徴。
    2. ポイント ⇒ ソムリエ協会のセミナーではそば焼酎は一度もテイスティングに出されない。アレルギーを危惧しているのか(ごく微量でもアレルギー反応を起こす人は存在する)? 断言はできないが、テイスティングで出題される可能性は少ないのではないかと推定。(出題されたらゴメンね)
    3. 産地 ⇒ 宮崎県高千穂地方、長野県

    以上、ご参考になれば幸いです。